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2021年5月2日 (日) 09:13時点におけるWatchdog (トーク | 投稿記録)による版 (→‎第6回(R3-02-25))
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第1回(R2.10.12)

○河野大臣 おはようございます。月曜日の朝一からありがとうございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
国民の側から見て、社会の側から見て、価値を生み出す規制改革をしっかりと進めていくというのが、この菅内閣の1丁目1番地の方針でございます。しっかりと御議論をいただいて、その方向に世の中を進めてまいりたいと思っております。
 おかげさまで行政手続における押印の廃止は、かなり進みつつあると思っております。その次 のステップとして、書面、対面、ファックスの廃止があります。
 同様に、民間同士の取引においても押印、書面、対面を求めているものが結構あるようでござ います。また、資格を持っている人を特定の場所に必ず置いてください、あるいは専任にしてく ださいという義務、あるいは検査を人がやらなくてはいけませんというような規制が、結構あり ます。デジタル IT 技術などを使って電子的な書面の交付はもちろんできますし、IT 機器を使っ て、遠隔地から説明をしたり研修をやったり、あるいは遠隔制御、遠隔監視といったものが、も う既に技術的には可能になっております。民間のデジタルトランスフォーメーションを実現する ためにも、逆にそういう技術でできることを規制で止めているというのは、何とかしなければな らないと思っております。

落合専門委員 ありがとうございます。御紹介いただきました落合と申します。新経済連盟、Fintech協会、JAIRA からの御説明について、3点コメントをさせていただければと思います。
1つが、まず、JAIRA のほうから技術的中立性というお話をいただきましたけれども、既に成長 戦略ワーキングでやっていたことというのが、判子から電子署名という形で、物理的手段から技 術を用いた性能化ということを既に行ったということだと思っています。さらに押印、書面、対 面の原則というのを我々は打ち立てていますけれども、これを書面について行っていく際の考え方について御指摘をいただいたのかなと思っております。やはりこの紙から電子化という点は、業務全体について電子化ができていないと業務効率化というのにつながっていかないということで、情報利活用につながる基盤でもありますし、非常に大事な点だと思っています。
 第2点として、帳簿整理についてです。こちらについては、いわゆる決済情報の利活用という のは、もう世の中で広く言われているところでありますけれども、今の決済事業者が持つ情報だ けでは、最終的に税務処理ができないということになっていると思っています。すなわち軽減税 率の処理などは、決済情報だけですと総額しか分からないので、8%の適用なのか、10%の適用 なのか、こういったことすら分からないということで、領収書自体の電子化というのも必要になってくるということになると思っています。
 領収書というのは、人から渡されて保存して、経理処理するというものなので、自分1人で電子化ができないという特性があると思っています。このため、電子交付を求められるようにしていくということが必要だということだと思います。最終的には完全電子化ということだと思いますけれども、現実の状況としては、まだ紙は大半残らざるをえないという状況ですので、この紙から電子への移行をどのようにやっていくのかというのも含めて、提案をいただいているというものだと思っています。そのときに私人間の実体法の法律関係として民法の話があって、さらに税務に関する手続として電子帳簿保存法についても、今申し上げたような側面でしっかり見直していくということが重要なのかなと思っております。
 第3点として、内容証明について、こちらは JAIRA のほうからコメントをいただいております けれども、実際に書類の郵送というのをなくしていかないと、コロナの中での無用な出社という のはなくすことができないということだと思っています。しかしながら、この内容証明というの は、全体の郵便の一部ではありますけれども、押印のQ&Aと同じような形なのかなと思ってお ります。つまり内容証明すら電子化できるというリリースが出てくることによって、相当程度象 徴的な効果があるのではないかと見ております。このため、私としては、全体の中で一部の郵送 プロセスであっても取り上げる意味があるのではないかと思っています。
 また、将来的なものを考えても、革新的事業評価委員会のほうでも、先日認定案件が出ており ます。こういった権利移転のプロセスであったり、請求等のプロセスを完全に電子化して電子基 盤の上で行っていけるという見通しをつくっていくことで、最終的にはブロックチェーンを使っ た権利移転の記録の仕組み等々にもつながってくるという議論も、そちらのほうでもしていると ころですので、そういった視点も含めて、御議論いただけるといいのかなと思っております。
以上です。

第2回(R2.10.20)

○日本経済団体連合会(井上常務理事) ありがとうございます。
 経団連の常務理事の井上と申します。本日は、貴重な機会をいただきましてありがとうございます。
 私からバーチャル株主総会の利用の促進と、総会資料のウェブ開示につきまして、先週 経団連で提言を取りまとめましたので、それに基づきまして説明をさせていただきます。
 資料の1ページ目をお願いいたします。
 本年のコロナの中での株主総会は、バーチャルを活用した第一歩となりましたけれども、来年はさらに安定性を高めて普及をさせていく必要があると考えております。
 ただ、12月の決算会社では来年の3月には総会となりますので、時間的な余裕はございません。まずは本年、活用が進みましたハイブリッド型のバーチャル株主総会をブラッシュアップさせることが重要と考えております。
 2ページ目でございます。
 ここで、株主総会の種類でございますけれども、リアルの株主総会、そしてリアルとバ ーチャルのハイブリッド型の参加型、またハイブリッドの出席型、そしてバーチャルオン リー型と整理をされるところでございます。
 本年2月にハイブリッド型につきまして、経産省からガイドが公表されまして、感染予 防策といたしましても大変役立ったところでございますけれども、なお実務上不明な点が あると思われますので、この辺りを早期に明確化をしていただきたいということが第1点 でございます。
 具体的には3ページ目でございます。
 ハイブリッド参加型・出席型、共通の事項といたしまして、通信障害を回避する観点か ら、1つ目の映像通信なしの音声通信のみによる開催が認められること、また、2つ目の オンライン株主の参加枠を合理的な範囲内に制限できることが確認されることが不可欠と 考えております。
 またバーチャルでございますので、3つ目にございます役員や議長のオンライン出席も 当然に認められるべきと考えております。
 続きまして、4ページ目でございます。
 ハイブリッド出席型、すなわちオンラインで議決権行使ができる場合の確認事項でござ います。
 通信障害への対応、あるいはなりすましへの対応、オンライン出席を認めることに伴っ てリアル会場を縮小することへの対応、またオンライン出席株主からの質問への議長の対 応の仕方といったことに関しまして、会社が合理的な方策を講じていれば問題ないということを確認いただきたいと考えております。 5ページ目は、リアル会場の設営がないバーチャルオンリー型の株主総会に関してでございます。  現行の会社法の下では、総会にはリアルな場所が必要と解釈をされておりますけれども、バーチャルオンリー型総会を選択する有用性、あるいは許容性はあると考えております。
 一方で株主総会は、株主の権利にも関わりますので、投資家側から見た意見にも十分な 配慮が必要となります。抜本的な会社法の改正には時間を要すると考えられますので、可能でありますれば特例法などによって対応を御検討いただければと思っております。
その際には、ハイブリッド型の総会との整合性を踏まえまして、一番下に書いておりま す1から3の事項につきましても実務が円滑に回るような配慮が必要と考えております。 なお、仮に会社法の改正議論となる場合には、決議事項の見直しなど、株主総会の在り方自体につきましても国際的な整合などを踏まえた検討が必要になるのではないかと考えております。
 最後に、6ページ目でございます。 規制改革推進会議の強いサポートによりまして、本年の時限的な措置として株主総会資料としての単体計算書類などのウェブ開示によるみなし提供が可能となったところでござ います。
 しかし、来年以降も当然ウィズコロナの下での総会となるということ。また、デジタル 化による様々なメリットを考えますと、この措置につきましてはぜひとも恒久化をしてい ただきたいとお願いを申し上げます。
 私からは以上でございます。

○日本経済団体連合会(小畑本部長) 経団連の小畑でございます。
 御質問いただきまして、誠にありがとうございます。
 なりすましにつきましては、非常に企業も頭を悩ませているところでございまして、なかなかその辺の解消ができていないものですから、今年の株主総会につきましては出席型というのはほとんど取られていない。実際には参加型、こちらが大半であったと認識しております。
 その中で、出席型を取られたところの実例等を拝見いたしますと、事前にパスワード等 を株主の皆様に送らせていただいた上で、本人確認がもう一回スマホのメール等に返信されるなどダブルチェックのような形で本人であることを確認するといった方式が取られて いると考えておりまして、こういう形でダブルチェックのようなものをしていれば、仮に 第三者がなりすましていたとしても、それはもう防ぎようのないものということで、企業側としてはできることはやったということで、その決議の有効性、この辺について明確な ガイドを出していただければと考えておるところでございます。
 以上でございます。

第3回(R2.11.09)

https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/wg/seicho/20201109/gijiroku1109.pdf#page=15

村上専門委員 村上です。どうもありがとうございます。
 2点質問です。1つ目は、現在、印鑑は認め印レベルで、印鑑登録証明書は出していないと思います。認め印はほとんど本人の確認ができていないので、それを電子署名に置き換えた場合、過剰な電子署名にならないよう、十分注意して御検討いただければと思います。

落合専門委員 ありがとうございます。
 私のほうからは、まず村上委員のほうからも御指摘があったと思うのですけれども、押 印の部分についてです。認め印であれば電子署名に代替するというよりかは、そもそも押印自体を廃止していくというふうに進めていくとなった事例も、規制改革会議で議論していた結果として割と多かったと思います。また、民事訴訟法上の実印等への推定の効果と電子署名法の効果を比較しても同様のものになると思いますので、ぜひ電子署名についても、不要に多く求めることがないよう取扱いをお願いしますということが1点目です。

岩下委員 岩下ですけれども、よろしいでしょうか。
 私、10年ほど前に日立製作所というところにおりまして、まさにこの種のベース・レジストリをちゃんとつくれないかということを相当真面目に研究する仕事をやっていました。 そこでの結論は、今の法務省さんとかのお持ちのデータというものの信頼性、本当にこれ をデータベース化したときに現実と合っているのだろうかという問題は、実は相当慎重な 検討を要するという感じになりました。結局、土地関係のデータとかは、事実上、それぞ れの民間の業者が全部ばらばらに、もう一回飛行機を飛ばして全部図面を引き直してやっ ています。そのほうが安いので、かつ、そのほうが信頼できます。
 そこがそうなってしまっているということは大変不幸なことではあるのですが、では、 今の法務省あるいは公共の持っているデータベースが本当にそうやって使うものになるか どうかということは、結局それをそういうふうに使っていくというゴーイング・コンサー ンの視点が非常に大事で、そういうふうにつくっていなくて、ただ単に登記したときの一 回限りのもので、確かにそれは証拠にはなるかもしれないけれども、その後で、実際には 現地にしてみると全然違う、現状が変わってしまったみたいな話をフォローアップしてい ないケースは非常に多いということが調べてみるとよく分かりました。結果として、今、 ライブの、それこそGoogleMapとかのほうがよっぽど信頼できるねという話を10年ぐらい 前にしていました。
 そういう意味で、国のベース・レジストリがそれでは困るのだと思うのです。だから、 そこはもっと改善する必要があるのだけれども、今の例えば様々な登記情報をオンライン 化したら、それがすばらしい現状とリンクしたものになるかというと、そこにあまり過大 な期待は持たないほうがいいのかなと過去の経験で感じております。
以上です。

第4回(R2.11.30)

○法務省(堂薗審議官) 法務省の民事局担当審議官をしております堂薗でございます。 法務省からは、「論点に関する回答」というペーパーを基に御説明をいたしますので、そちらを御覧いただければと思います。 論点1、2についてでございますが、今御提案がありました件のうち定期建物賃貸借の締結及び事前説明、一般定期借地権の設定の特約、建物取壊し時に賃貸借契約が終了する 旨の特約をするために必要とされる書面につきましては電子化する方向で検討を進めてお りまして、直近の法改正の機会を捉えて所要の改正措置を行う予定でございます。
 他方で、借地借家法第23条に規定する事業用定期借地権などにつきましては、借地権存 続保護の例外を定めるものであり、借地人に重大な影響を及ぼすという面がございますの で、当事者の意思を明確に確認し、将来の紛争を予防する必要があります。そういった観 点から、他のところとは違いまして、書面の中でも公正証書によってしなければならない とされているところでございます。このため、その要件を緩和することにつきましては、これにより借地人の保護という同条の趣旨が損なわれないようにする必要がありまして、その点については慎重な検討が必要なのではないかと考えているところでございます。
 また、公正証書の作成手続を電子化することにつきましては、私的法律関係の明確化、 安定化を図り、私的紛争を予防するという公正証書に期待される役割、あるいはシステム の構築の在り方を踏まえて検討する必要があると考えているところでございます。
 私からは以上でございます。

https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/wg/seicho/20201130/gijiroku1130.pdf#page=20

髙橋委員 法務省にお聞きしたいのです。今、公正証書の電子化については慎重な検討 が要るというお話だったのですけれども、これは検討上、今、何が問題なのでしょうか。
 そういうことを考えていないのでしょうか。一体何が検討上の課題なのか。そこら辺も明 確にしていただければありがたいと思いますが、いかがでしょうか。

岩下委員 手短に。
 今の法務省さんのお話は、要するに何もしませんということを言っているように聞こえ たのですけれども、今、社会においてデジタル化がいかに必要であるかという御認識をお 持ちでしょうか。借地借家法自体の改正というのは大変いろいろと難しいことはよく分か りますが、その話とデジタル化が必要だという話とはまた別の話であって、世の中の人た ちがデジタル化にしたほうが便利であるということは明らかなので、それをやることにな って何か戦前のような借家人の権利が侵される云々といった時代遅れの議論をしているタ イミングではないと思うのですけれども、そこは考え直していただけませんでしょうか。
 以上です。

落合専門委員 分かりました。
 御説明いただきましてありがとうございます。
 法務省のほうにお伺いしたいことがございまして、この借地借家法の各条文で公正証書 ということになっております。実際に公正証書を作成する際として、会社の定款などを作 るときも、例えば定款をチェックして2~3点ぐらい細かい修正が入ったりということが 実務として起こっていると認識しています。この事業用定期借地権等の場合については、 公証人としてはどういうものを審査しているというのが現状なのでしょうか。
 あと、そもそも公正証書による必要があるかどうかというところについて、強行規定等 の私法上の効力を限定するような整理を条文上行えばそれでも足りるのではないかとも思 われます。それで足りない審査を何かされているのではないかと思いますが、その審査と してどういうものをされているのかということを教えていただければと思いました。
 以上です。

https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/wg/seicho/20201130/gijiroku1130.pdf#page=21

○法務省(堂薗審議官) 法務省堂薗でございます。
 御質問ありがとうございました。
 まず、借地借家法のうち定期建物賃貸借、あるいは一般の定期借地権につきましては、 電子化が可能になるような法改正を早急に行う一方、事業用定期借地権のように公正証書 の作成が必要になるものについては慎重な検討が必要なのではないかということを申し上 げたところでございます。
 まず、公証人としてどのような審査をしているかというところでございますけれども、 事業用借地権の場合、「専ら事業の用に供する建物」の所有を目的とするという要件につ きまして、いろいろ限界事例等が考えられるところでございまして、一部に社員寮や社宅 がついているものがどうなのかとか、いろいろ法的な解釈が必要になる部分がございます ので、その点がこの要件に該当しているかどうかを審査しております。
 それから、この事業用定期借地権に該当すると、一般の借地借家法上の保護が受けられ なくなるということになりますので、契約の更新、その期間の延長、あるいは建物買取請 求権の行使といったものができなくなるといった不利益が生じるということを借地人がき ちんと理解しているかどうかという意思確認を行う必要がございますので、その辺りを審 査しているというところでございまして、その点についてはやはり法律専門家の関与が必 要になるのではないかというところでございます。
 それから、公正証書の電子化、要するに、公正証書を作成する際に電子化できないかと いう点につきましても、御指摘を踏まえて検討する必要があると考えているところではご ざいますが、御案内のとおり、公証実務につきましては、基本的に公証業務を行うのに必 要な経費は公証人が負担するということになっておりまして、基本的には手数料の中から 経費分を出すという前提になっておりますので、仮にこういったシステム化をする場合に は、政府の予算ではなくて公証人連合会のほうで検討する必要があるというようなところ もございます。その辺りを含めて、今日の御議論を踏まえまして、日本公証人連合会とも 協議する必要があるのではないかと考えているところでございます。
 私からは以上です。

落合専門委員 落合です。
 今、御説明いただきましてありがとうございます。
 定期借地権の部分について、本当にそもそも公正証書でないといけないのかというのが、 法的要件を、公証人を入れて審査しているという場合は極めて限定的ではないかと思います。どちらかというと借地借家法の中ですと、ほかの条文ですと例えば21条や30条などで 強行規定性を設けて弊害防止をした上で、必要があれば裁判所の司法手続等も使いやすく するようにということで対応されているのではないかと思っています。そもそも公正証書 というものを使うことが、本当にどこまで今必要なのだろうかとは思います。この点も含 めて、書面によって行うことが求められているだけであり、そして、その書面の電子化を するということで対処していくべきなのではないかとも思われます。
 ただ、一方で、今のところ第4節の定期借地権等のところには強行規定の定めがないよ うに思われますので、そこの部分は補足等をした上でといいますか、ほかの条文と同程度 の保護はされるようにした上でということではあると思いますけれども、そういうことも 御検討いただくといいのではないかというのが意見になります。
 以上です。

https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/wg/seicho/20201130/gijiroku1130.pdf#page=22

村上専門委員 ありがとうございます。
 以前法人設立の定款作成の議論をしたときに、やはり公証人の方の役割がよく分からな いまま、デジタル化が進まない要因になっていたと記憶しています。今回の回答の2つ目 のパラグラフで、電子化をするに当たっては慎重な検討が要るとありますが、これも公証 人がデジタル化の最大阻害要因になっているように私は思います。だから、公証人制度そ のものの廃止も含めて、抜本的に見直すべきではないかなと私は思います。これは意見です。

https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/wg/seicho/20201130/gijiroku1130.pdf#page=23

髙橋委員 先ほどの法務省の御回答はお金の問題だということにしか聞こえませんでし た。デジタル化の時代であれば、地方公共団体のシステムであっても国が先導的に整備す るという話になっていますので、連合会に対して法務省が予算を補助して、連合会がシステムを全部組み上げていただければ、個々の公証人の負担なしにシステムは立ち上がるの ではないかと思うのです。そういうことについて、法務省が汗をかいて財務省と交渉し、デジタル基盤をつくり上げるということを、法務省が先導的にやれば問題は解決するので はないかと思うのですが、そこはいかがでしょうか。

武井委員 まず3つ目の書面の話ですが、これは備忘なのですけれども、法務省さんに というよりは国交省さんの絡む話というか、この論点は条例でも迷惑防止条例とか書面に なっているものがいくつかあるので、条例のところも含めて対応が重要であると。さきほ どのお話だと国でどこまでできるのかという議論はあるわけですけれども、条例も含めて やっていかなければいけない話だというのがまず備忘のコメントです。
 あと、公証人に関して、どこまで本格的なシステム投資が必要なのかです。たとえば今 日のこの会議のようなオンラインの態様で行うことですら、公証人役場でシステム投資を してすごくお金がかかる話なのでしょうかという点です。今これだけ医療とかについても オンラインでやっているときに、公証人関係が医療と比べてオンラインが難しい話なのだ ろうかという気がします。オンラインで人と人とが話す、公証人と当事者とがオンライン で話すというシステムにすることでもすごくお金がかかるものなのかというご質問です。
 以上です。

○法務省(堂薗審議官) 法務省の堂薗でございます。
 予算の点に関しましては、先ほど申し上げましたように、現行法上、公証人について独 立採算制が取られているというところがありますので、その関係で法務省が予算を取って それを補助するというような形ができるのかどうかというところが問題になろうかと思い ます。その点につきましても御指摘を踏まえて検討したいと思います。
 それから、どのようなシステムを作るのか、どの程度費用がかかるのかというところも 含めまして、御指摘を踏まえて検討を進めていきたいと考えているところでございます。

https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/wg/seicho/20201130/gijiroku1130.pdf#page=24

小林議長 僕はこの辺は素人なので、感想を言わせてもらえば、公証人役場とか公証人 という存在をそもそももう一度定義し直さないといけないと思っています。僕が公証人に お世話になったときにびっくりしたのは、まず最初にマイナンバー見せてくれ、最後に実 印を押してくれと。何をやっているのかほとんどファンクションが分からない人だなと感 じたのです。基本的には村上先生が言われたように、構造的にデジタル以前の話ではない かなと。そもそも必要性はどうなんだということをもう一回考え直さないと。法務省には 考えていただきたいなと思います。
 以上です。
○大橋座長 ありがとうございます。
 今の議長のおっしゃるとおり、コメントとして法務省にも受け取っていただければと思います。
 今回の公証人の関わる制度については、電子化を求める声というのは非常に強かったということではございますけれども、村上委員から阻害要因とまで言われていますが、そういう点も含めて、今後引き続き御検討いただいて、ぜひ電子化という方向までは道筋をつ けていただければというのが委員全員の思いだったのではないかなと思われます。
 もし皆様方のほうから追加でなければと思いましたが、落合委員と髙橋滋委員からお願いします。
落合専門委員 ありがとうございます。
 私のほうも、この条文との関係で必ずしも公正証書は必要ないのではないかという話を差し上げましたけれども、気持ちとしては村上委員、小林議長がおっしゃられたことと同じようなものです。本当に公証人というのがどこでファンクションをする必要があるのか、それをよく捉え直して見てみるということが必要と思います。少なくとも今回の借地借家 法は特に必要があまり感じられなかったので強調して申し上げましたけれども、それ以外 の場合も含め全体として機能を見直して、そういうものが本当に必要なのかと捉え直すことは必要だと私も感じております。
 以上です。

髙橋委員 繰り返し申し上げますけれども、国、地方の財政負担だって地方財政法上の 基本的な原則で決まっているのを、今回、国主導で地方のデジタル化基盤を整備する話に なっているわけです。公証人法であっても特別立法でその部分だけデジタル化促進法の中 に入れてしまえば法制的には克服できる話だと思います。それを公証人の自己負担ですか らの一点張りでは世の中は変わらないのではないかと思うのですが、そこはいかがでしょうか。

https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/wg/seicho/20201130/gijiroku1130.pdf#page=25

○法務省(堂薗審議官) その点も含めて検討させていただければと思いますけれども、 上川大臣からも、公証制度につきましては時代に合わせた合理的なものとなるように検討 するようにという指示を受けているところでございまして、現在、法務省では公証制度全 体について、手数料も含めて検討を進めておりますので、そのような観点も踏まえて検討 を進めていきたいと考えております。

https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/wg/seicho/20201130/gijiroku1130.pdf#page=26

○藤井副大臣 ありがとうございます。
 本日も非常に貴重な御意見をいただきまして、ありがとうございます。
 先ほどの法務省の関係ですけれども、借地借家法における書面の電子化につきましては まさしく一括法といいますか、政府で考えておりますので、直近の改正事項に入れていた だきたいというのが1点。また、こちら、根本のも含めて電子化に向けての検討をしてい ただきたいというのはそのとおりだと思いますので、皆様の力強い意見を踏まえまして、そのような対応を求めたいと思います。ありがとうございます。

第5回(R3.02.12)

村上専門委員 村上です。
 御説明ありがとうございます。一つ気になっているのが、押印、書面、対面の見直しは手段であって、目的はデジタル化を推進することなのですが、今御説明いただいた1ページの押印の見直しの改正案で「こ れに署名しなければならない」の署名とは、電子的な署名や別の電磁的な本人確認方法で もいいという意味と解釈していいでしょうか。単に印をなくして手書きの署名が残るので あれば、何ら効果がないので、その辺りはどういう解釈になっているのかを教えていただ けますでしょうか。
吉岡参事官 回答します。行政手続につきましては、デジタル手続法という法律が既に 定められてございまして、印があるままでもデジタル手続を行うことが既に現行法の中で も可能なところでございます。
 一方で、印を残している場合には、当然、電子署名をすることになろうかと思いますが、 電子署名につきましても、成長ワーキングで御議論いただきましたように、ローカル型の 電子署名であれば、それなりの費用や負担といったものの手間がかかるということでござ いますので、完全なデジタル化社会に移行するためには、BPRとして押印のところから見直 していく必要があるということでございますので、今回、仮に紙が残る場合であっても、 押印については見直しをするという思想で法改正をさせていただいているところでござい ます。
 民民手続は以上でございます。
村上専門委員 質問の意図が伝わっていないようですけれども、ここでいう署名とは、 手でするサインのことを言われていますか。
吉岡参事官 はい。署名は手でするサインのことを言っております。
村上専門委員 もしそうであれば、押印をなくしても、書面が残ったら意味がないので はないですかということを私は言っているのですけれども、それはいかがなのですか。
吉岡参事官 押印も、書面をなくしてもいいものについてはなくしているわけでござい ますが、あくまで本人確認や意思確認の観点、事務に紛争が起こった場合に、どうしても 本人の意思の確認の観点から必要なものは残しているところでございます。
村上専門委員 それを紙の書面に限定しているのは何か理由があるのですか。ほかに方 法があるのであれば、それでいいというのは、ほかの法律で読み替えるという意味合いな のですか。
吉岡参事官 紙の手続が電子になった場合については、電子署名などで代用することに なろうかと思います。
村上専門委員 この署名は、紙に限定せず、電子署名も含んでいるという用語の定義で よろしいわけですね。
吉岡参事官 そういうことで結構です。
村上専門委員 分かりました。ありがとうございます。
○藤井副大臣 説明が分かりにくかったと思うのですけれども、この署名は、読替えで電 子署名が可能ですから、電子署名でオーケーになっていますので、大丈夫でございます。 ○村上専門委員 ありがとうございました。

https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/wg/seicho/20210212/gijiroku0212.pdf#page=28

○経済産業省(田代企画官) 田代と申します。本日はよろしくお願い申し上げます。
 このたび、資料の右下のページ数でいいますと、4ページ目にございますとおり、ハイ ブリッド型バーチャル株主総会に関する取組につきましても、バーチャルオンリーと併せ て進めているところでございます。
 昨年2月に「ハイブリッド型バーチャル株主総会の実施ガイド」を公表させていただき ました。さらなる実務への浸透を図るために、実施ガイドの別冊として「実施事例集」を 先週2月3日に公表させていただきました。
 具体的な内容としましては、リアルとオンラインの併用のものでございますけれども、 企業がハイブリッド型のバーチャル株主総会を実施する際に、論点となると考えられる事 項につきまして、これまでの実施事例を御紹介する、また実際の運用における考え方を提 示しているところでございます。その作成に当たりましては、実施した企業に対するヒア リングを集中的に実施いたしまして、経済界の実態把握に努めるとともに、パブリックコ メントを実施いたしまして、幅広い皆様から声をお伺いさせていただいて策定したところ でございます。
 具体的な中身につきましては、資料の4ページ目の下の表に論点をお示ししております けれども、例えばとして例を挙げさせていただきますと、左側の「参加型・出席型共通の 論点」として、配信方法でございますが、インターネット等を通じるとか、音声を活用す るといったことも可能だということをお示しするとか、(6)にございますとおり、肖像権の配慮についても撮影・録音・転載などを禁止するといった対応を、考え方を併せて実施事例で御紹介することによって、実務への浸透を図っているものでございます。
 また「出席型の論点」としてというところではございますけれども、例えばですが「(12)質問の受付・回答方法」ということで、合理的な取扱い方ということで、質問の受付についても考え方などをお示しするということで、今後のハイブリッド型のバーチャル株主総会の実施に当たって、お役立ていただけるような形でお示ししたところでございます。
 以上でございます。
大橋座長 どうもありがとうございます。
 それでは、残りの時間を使って御意見あるいは御質問を受けられればと思いますが、いかがでしょうか。ございませんか。
 それでは、高橋議長代理、お願いします。
高橋議長代理 ハイブリッド型の株主総会の事例ということで細かくお示しいただいていますが、他国も似たような状況に直面しているとは思うのですけれども、他国でのバーチャル株主総会の実施内容と、今回日本で示されたものは大体平仄が合っているという感じでよろしいのでしょうか。ガラパゴスになっていないかどうかだけ聞きたいのです。
大橋座長 経済産業省、そこの辺りはいかがでしょうか。
 これは企画官ですか。
○経済産業省(田代企画官) 田代でございます。
 ありがとうございます。まさに世界でバーチャル株主総会が進展してくる中で、我々も事例集の中でも海外の取組の状況なども御紹介させていただいたり、こうやって新しい取組を進めていくことが御懸念の点に対応することになるかと思っているところでもございます。
 また、その中で、各国の制度で異なるところはもちろんございますので、当然ながら日本固有の点はあると思うのですけれども、バーチャル株主総会の活用も推進していくことが御懸念の点に対応するところかと考えております。
大橋座長 一応、海外の制度も踏まえた上での今回の取組というところだとは思っていますけれども、議長代理、どうでしょうか。よろしいですか。
高橋議長代理 はい。海外の動きも踏まえた上で、こういうことになっているということであれば、それで結構です。
大橋座長 ありがとうございます。
 村上委員、お願いできますか。
村上専門委員 1点確認なのですけれども、資料5-1の法務省の回答で、令和3年9月30日まではウェブ開示を認めるということになって、それ以降はないというのは、それ以降は経産省がお示しになったバーチャル株主総会のほうで全部引き取れるから、これは時限的な法律になっているという解釈で合っていますでしょうか。基本的なことを教えていただければと思うのです。
吉岡参事官 事務局からお答えします。
 株主総会資料の電子情報提供制度につきましては、令和元年の会社法の改正の中で既に措置されているのですが、システム改修に時間がかかるということで、施行がかなり先になります。ですので、ウェブ開示の省令でつないでいくことがどうしても必要になってくることになります。期限が9月30日に切れるということでございますので、規制改革推進室としては、引き続きこれを延長する方向で法務省に求め続けようと思っています。
 法務省の言い分としましては、これはコロナ対策であるので、緊急の措置であるので、一応時限でやらせてくださいと我々に対して主張しているところであります。
 以上です。
村上専門委員 では、法務省はまだ継続すると言っているわけではないということで、今後、まだ調整しなければいけないという理解ですね。
吉岡参事官 それで結構でございます。調整が必要です。
村上専門委員 分かりました。どうもありがとうございます。

第6回(R3-02-25)

○日本電子計算株式会社(高山部長) 共有しながら進めさせていただきたいと思います。

 「アジャイル型システム開発の事例」ということで、御説明させていただきたいと思い ます。弊社は、システム開発の受託会社の位置づけでお話し申し上げたいと思います。

 アジャイル型開発の前に、一般的な従来型のシステム開発の特徴をお話し申し上げたい と思います。こちらは、ウォーターフォール型と申しまして、システム開発の工程を順々 に重ねながら進めていく形のものでございます。一般的なシステム開発は非常に開発規模 が大きいことが多くございます。数百人月、数千人月といった規模、開発期間も半年や数 年に及ぶものが多いところでございます。ですので、物を作ってテストをした後に、そこ で仕様が間違っています、仕様が変更になりますと言いますと、大きな手戻りが発生しま して、それまでの作業がある意味で無駄となるということがございます。そのために、一 個一個の工程で品質評価をしながら進んでいくというのが一般的でございます。中でも、 最初の外部仕様を固める、お客様の要件を固める上流工程と呼ばれているポイントが非常 に重要でございまして、ここで仕様を固めて、その仕様に基づいて作業をしていくことに なります。逆に申し上げますと、この最初の上流工程につきましては、まさに仕様が不明 確というところがございますので、一般的に、受託会社としますと、成果物責任を負うよ うな請負型の契約はあまりいたしません。準委任型の契約で上流工程を進めていきます。 この上流工程で仕様が固まったところで、下流工程の物を作るといったところで成果物責 任ありの請負契約としていくのが一般的でございます。

 今日の御議論、アジャイル型の開発でございます。こちらに特徴的な話としますと、言 わば新規の業務を実験的にやるような開発が多くございます。ですので、開発規模も小さ くて、開発期間も短く、数か月や場合によっては1日や週単位で納期となるような開発が発生いたします。そういうことを求める開発に適しているのがこのアジャイル型開発と御 理解いただければと思います。こういった新しいものは、仕様が不明確でございます。ま た、急な仕様変更や案件外の要因の割り込みも随時発生してまいります。ですので、優先 順位が変わることが非常に多く発生するということで、まさに作りながら仕様を確定する、 プロトタイプを作って見える化をして仕様を固めて作っていくということになります。そ の点、途中でこの仕様はやめましょうとか、順番を変えましょう、場合によっては打ち切 りますといったことも、ある意味、日常的に行われる可能性があるということでございま す。ですので、受託者側からしますと、いわゆる請負型、成果物責任で行うのは難しいと いうところでございます。課題はあるものの準委任型の契約で最初から終わりまでいくこ とが多いと思っております。こういった開発につきましては、委託者側と受託者側がチー ム一丸となって同じ場所で一緒に働いてフラットなコミュニケーションを行うことが必要 であり、そういう特徴を持っているとお考えいただければと思います。

 このアジャイル型の契約の課題でございますが、先ほど大臣からお話もございましたよ うに、偽装請負が鍵といいますか、ネックになってございます。チーム一丸となって同じ 場所で一緒に働いてフラットなコミュニケーションを行うことと準委任における作業指示 を遵守することを、ある意味、両手で話を進めていくことが必要になってくるところが課 題となっているところでございます。

 弊社としても、このアジャイル型に関してもやっていかなければいけないというところ でございますが、まず、いわゆるお客様との受託契約という前に、社内システム、社内で 作っていくシステムにつきましてこうやっていこうということで、アジャイル型開発も管 理ガイドラインを整えながらまずは社内でやってみようとしてございます。その話を申し 上げたいと思いますが、先ほど申し上げましたように、下の段のようないわゆるフォーマ ルな指示系統は、受託契約がされている場合は、実際に開発される前に委託者から受託者 に対して開発スコープの指示がされます。細かい一個一個の開発の束、スプリントといい ますけれども、そのスプリント計画のところで詳細化して合意するという作業がされます。 実際にスプリントと呼ばれる開発の束になりましたら、現場の中で、お客様と受託者側、 さらには私どもから再委託するメンバーもございます。そういったメンバーが一体となっ て日常的に会話をして進めていきます。そのときに、システムを使うときもございますし、 ツールを使うこともございます。先ほど申し上げましたプロトタイプを作ってみるといっ たこともございます。その結果、試行錯誤をして、朝令暮改といいますか、やめたり変更 するといったことがリアルタイムで行われてまいります。先ほど申し上げました指示系統 という話とコミュニケーションの間でそごが出てきますと、偽装請負が懸念される場合が 出てきます。ある意味、切り分けてそごのないようにすることは現場に負荷がかかってい るところかと思っております。弊社としましては、まず、社内システム、この辺をシミュ レーションして、今後、お客様に向けて受託契約を進めていきたいと思っているところで ございます。

 今日は、こういった開発に携わっているエンジニアがおりますので、現場で働いている エンジニアの感想を少しお話しさせていただきたいと思っております。

 伊藤さん、内海さん、忌憚のない御感想をお話しいただけますでしょうか。 ○日本電子計算株式会社(伊藤担当) 日本電子計算の伊藤と申します。よろしくお願い いたします。

 まず、先ほどからお話に挙がっておりますとおり、仕様変更などによる作業追加はウォ ーターフォールと比較して多いですけれども、仕様変更などが発生しても手戻りが限定的 で、手戻りに伴う修正規模が非常に小さくなったので、アジャイル型開発になって仕様変 更などの負担が減ったと感じております。

 また、プロダクトオーナー、発注元がステークホルダーの意見を集約してバックログ化 しており、また、外部から開発者への直接の指示があった場合には、スクラムマスターが 制御・ブロックをするために、外部から開発者への直接の作業指示がなくなり、開発者は 作業に集中しやすくなったと感じております。