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第1回(R2.10.12)

○河野大臣 おはようございます。月曜日の朝一からありがとうございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
国民の側から見て、社会の側から見て、価値を生み出す規制改革をしっかりと進めていくというのが、この菅内閣の1丁目1番地の方針でございます。しっかりと御議論をいただいて、その方向に世の中を進めてまいりたいと思っております。
 おかげさまで行政手続における押印の廃止は、かなり進みつつあると思っております。その次 のステップとして、書面、対面、ファックスの廃止があります。
 同様に、民間同士の取引においても押印、書面、対面を求めているものが結構あるようでござ います。また、資格を持っている人を特定の場所に必ず置いてください、あるいは専任にしてく ださいという義務、あるいは検査を人がやらなくてはいけませんというような規制が、結構あり ます。デジタル IT 技術などを使って電子的な書面の交付はもちろんできますし、IT 機器を使っ て、遠隔地から説明をしたり研修をやったり、あるいは遠隔制御、遠隔監視といったものが、も う既に技術的には可能になっております。民間のデジタルトランスフォーメーションを実現する ためにも、逆にそういう技術でできることを規制で止めているというのは、何とかしなければな らないと思っております。

落合専門委員 ありがとうございます。御紹介いただきました落合と申します。新経済連盟、Fintech協会、JAIRA からの御説明について、3点コメントをさせていただければと思います。
1つが、まず、JAIRA のほうから技術的中立性というお話をいただきましたけれども、既に成長 戦略ワーキングでやっていたことというのが、判子から電子署名という形で、物理的手段から技 術を用いた性能化ということを既に行ったということだと思っています。さらに押印、書面、対 面の原則というのを我々は打ち立てていますけれども、これを書面について行っていく際の考え方について御指摘をいただいたのかなと思っております。やはりこの紙から電子化という点は、業務全体について電子化ができていないと業務効率化というのにつながっていかないということで、情報利活用につながる基盤でもありますし、非常に大事な点だと思っています。
 第2点として、帳簿整理についてです。こちらについては、いわゆる決済情報の利活用という のは、もう世の中で広く言われているところでありますけれども、今の決済事業者が持つ情報だ けでは、最終的に税務処理ができないということになっていると思っています。すなわち軽減税 率の処理などは、決済情報だけですと総額しか分からないので、8%の適用なのか、10%の適用 なのか、こういったことすら分からないということで、領収書自体の電子化というのも必要になってくるということになると思っています。
 領収書というのは、人から渡されて保存して、経理処理するというものなので、自分1人で電子化ができないという特性があると思っています。このため、電子交付を求められるようにしていくということが必要だということだと思います。最終的には完全電子化ということだと思いますけれども、現実の状況としては、まだ紙は大半残らざるをえないという状況ですので、この紙から電子への移行をどのようにやっていくのかというのも含めて、提案をいただいているというものだと思っています。そのときに私人間の実体法の法律関係として民法の話があって、さらに税務に関する手続として電子帳簿保存法についても、今申し上げたような側面でしっかり見直していくということが重要なのかなと思っております。
 第3点として、内容証明について、こちらは JAIRA のほうからコメントをいただいております けれども、実際に書類の郵送というのをなくしていかないと、コロナの中での無用な出社という のはなくすことができないということだと思っています。しかしながら、この内容証明というの は、全体の郵便の一部ではありますけれども、押印のQ&Aと同じような形なのかなと思ってお ります。つまり内容証明すら電子化できるというリリースが出てくることによって、相当程度象 徴的な効果があるのではないかと見ております。このため、私としては、全体の中で一部の郵送 プロセスであっても取り上げる意味があるのではないかと思っています。
 また、将来的なものを考えても、革新的事業評価委員会のほうでも、先日認定案件が出ており ます。こういった権利移転のプロセスであったり、請求等のプロセスを完全に電子化して電子基 盤の上で行っていけるという見通しをつくっていくことで、最終的にはブロックチェーンを使っ た権利移転の記録の仕組み等々にもつながってくるという議論も、そちらのほうでもしていると ころですので、そういった視点も含めて、御議論いただけるといいのかなと思っております。
以上です。

第2回(R2.10.20)

○日本経済団体連合会(井上常務理事) ありがとうございます。
 経団連の常務理事の井上と申します。本日は、貴重な機会をいただきましてありがとうございます。
 私からバーチャル株主総会の利用の促進と、総会資料のウェブ開示につきまして、先週 経団連で提言を取りまとめましたので、それに基づきまして説明をさせていただきます。
 資料の1ページ目をお願いいたします。
 本年のコロナの中での株主総会は、バーチャルを活用した第一歩となりましたけれども、来年はさらに安定性を高めて普及をさせていく必要があると考えております。
 ただ、12月の決算会社では来年の3月には総会となりますので、時間的な余裕はございません。まずは本年、活用が進みましたハイブリッド型のバーチャル株主総会をブラッシュアップさせることが重要と考えております。
 2ページ目でございます。
 ここで、株主総会の種類でございますけれども、リアルの株主総会、そしてリアルとバ ーチャルのハイブリッド型の参加型、またハイブリッドの出席型、そしてバーチャルオン リー型と整理をされるところでございます。
 本年2月にハイブリッド型につきまして、経産省からガイドが公表されまして、感染予 防策といたしましても大変役立ったところでございますけれども、なお実務上不明な点が あると思われますので、この辺りを早期に明確化をしていただきたいということが第1点 でございます。
 具体的には3ページ目でございます。
 ハイブリッド参加型・出席型、共通の事項といたしまして、通信障害を回避する観点か ら、1つ目の映像通信なしの音声通信のみによる開催が認められること、また、2つ目の オンライン株主の参加枠を合理的な範囲内に制限できることが確認されることが不可欠と 考えております。
 またバーチャルでございますので、3つ目にございます役員や議長のオンライン出席も 当然に認められるべきと考えております。
 続きまして、4ページ目でございます。
 ハイブリッド出席型、すなわちオンラインで議決権行使ができる場合の確認事項でござ います。
 通信障害への対応、あるいはなりすましへの対応、オンライン出席を認めることに伴っ てリアル会場を縮小することへの対応、またオンライン出席株主からの質問への議長の対 応の仕方といったことに関しまして、会社が合理的な方策を講じていれば問題ないということを確認いただきたいと考えております。 5ページ目は、リアル会場の設営がないバーチャルオンリー型の株主総会に関してでございます。  現行の会社法の下では、総会にはリアルな場所が必要と解釈をされておりますけれども、バーチャルオンリー型総会を選択する有用性、あるいは許容性はあると考えております。
 一方で株主総会は、株主の権利にも関わりますので、投資家側から見た意見にも十分な 配慮が必要となります。抜本的な会社法の改正には時間を要すると考えられますので、可能でありますれば特例法などによって対応を御検討いただければと思っております。
その際には、ハイブリッド型の総会との整合性を踏まえまして、一番下に書いておりま す1から3の事項につきましても実務が円滑に回るような配慮が必要と考えております。 なお、仮に会社法の改正議論となる場合には、決議事項の見直しなど、株主総会の在り方自体につきましても国際的な整合などを踏まえた検討が必要になるのではないかと考えております。
 最後に、6ページ目でございます。 規制改革推進会議の強いサポートによりまして、本年の時限的な措置として株主総会資料としての単体計算書類などのウェブ開示によるみなし提供が可能となったところでござ います。
 しかし、来年以降も当然ウィズコロナの下での総会となるということ。また、デジタル 化による様々なメリットを考えますと、この措置につきましてはぜひとも恒久化をしてい ただきたいとお願いを申し上げます。
 私からは以上でございます。

○日本経済団体連合会(小畑本部長) 経団連の小畑でございます。
 御質問いただきまして、誠にありがとうございます。
 なりすましにつきましては、非常に企業も頭を悩ませているところでございまして、なかなかその辺の解消ができていないものですから、今年の株主総会につきましては出席型というのはほとんど取られていない。実際には参加型、こちらが大半であったと認識しております。
 その中で、出席型を取られたところの実例等を拝見いたしますと、事前にパスワード等 を株主の皆様に送らせていただいた上で、本人確認がもう一回スマホのメール等に返信されるなどダブルチェックのような形で本人であることを確認するといった方式が取られて いると考えておりまして、こういう形でダブルチェックのようなものをしていれば、仮に 第三者がなりすましていたとしても、それはもう防ぎようのないものということで、企業側としてはできることはやったということで、その決議の有効性、この辺について明確な ガイドを出していただければと考えておるところでございます。
 以上でございます。

第3回(R2.11.09)

https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/wg/seicho/20201109/gijiroku1109.pdf#page=15

村上専門委員 村上です。どうもありがとうございます。
 2点質問です。1つ目は、現在、印鑑は認め印レベルで、印鑑登録証明書は出していないと思います。認め印はほとんど本人の確認ができていないので、それを電子署名に置き換えた場合、過剰な電子署名にならないよう、十分注意して御検討いただければと思います。

落合専門委員 ありがとうございます。
 私のほうからは、まず村上委員のほうからも御指摘があったと思うのですけれども、押 印の部分についてです。認め印であれば電子署名に代替するというよりかは、そもそも押印自体を廃止していくというふうに進めていくとなった事例も、規制改革会議で議論していた結果として割と多かったと思います。また、民事訴訟法上の実印等への推定の効果と電子署名法の効果を比較しても同様のものになると思いますので、ぜひ電子署名についても、不要に多く求めることがないよう取扱いをお願いしますということが1点目です。

岩下委員 岩下ですけれども、よろしいでしょうか。
 私、10年ほど前に日立製作所というところにおりまして、まさにこの種のベース・レジストリをちゃんとつくれないかということを相当真面目に研究する仕事をやっていました。 そこでの結論は、今の法務省さんとかのお持ちのデータというものの信頼性、本当にこれ をデータベース化したときに現実と合っているのだろうかという問題は、実は相当慎重な 検討を要するという感じになりました。結局、土地関係のデータとかは、事実上、それぞ れの民間の業者が全部ばらばらに、もう一回飛行機を飛ばして全部図面を引き直してやっ ています。そのほうが安いので、かつ、そのほうが信頼できます。
 そこがそうなってしまっているということは大変不幸なことではあるのですが、では、 今の法務省あるいは公共の持っているデータベースが本当にそうやって使うものになるか どうかということは、結局それをそういうふうに使っていくというゴーイング・コンサー ンの視点が非常に大事で、そういうふうにつくっていなくて、ただ単に登記したときの一 回限りのもので、確かにそれは証拠にはなるかもしれないけれども、その後で、実際には 現地にしてみると全然違う、現状が変わってしまったみたいな話をフォローアップしてい ないケースは非常に多いということが調べてみるとよく分かりました。結果として、今、 ライブの、それこそGoogleMapとかのほうがよっぽど信頼できるねという話を10年ぐらい 前にしていました。
 そういう意味で、国のベース・レジストリがそれでは困るのだと思うのです。だから、 そこはもっと改善する必要があるのだけれども、今の例えば様々な登記情報をオンライン 化したら、それがすばらしい現状とリンクしたものになるかというと、そこにあまり過大 な期待は持たないほうがいいのかなと過去の経験で感じております。
以上です。

第4回(R2.11.30)

○法務省(堂薗審議官) 法務省の民事局担当審議官をしております堂薗でございます。 法務省からは、「論点に関する回答」というペーパーを基に御説明をいたしますので、そちらを御覧いただければと思います。 論点1、2についてでございますが、今御提案がありました件のうち定期建物賃貸借の締結及び事前説明、一般定期借地権の設定の特約、建物取壊し時に賃貸借契約が終了する 旨の特約をするために必要とされる書面につきましては電子化する方向で検討を進めてお りまして、直近の法改正の機会を捉えて所要の改正措置を行う予定でございます。
 他方で、借地借家法第23条に規定する事業用定期借地権などにつきましては、借地権存 続保護の例外を定めるものであり、借地人に重大な影響を及ぼすという面がございますの で、当事者の意思を明確に確認し、将来の紛争を予防する必要があります。そういった観 点から、他のところとは違いまして、書面の中でも公正証書によってしなければならない とされているところでございます。このため、その要件を緩和することにつきましては、これにより借地人の保護という同条の趣旨が損なわれないようにする必要がありまして、その点については慎重な検討が必要なのではないかと考えているところでございます。
 また、公正証書の作成手続を電子化することにつきましては、私的法律関係の明確化、 安定化を図り、私的紛争を予防するという公正証書に期待される役割、あるいはシステム の構築の在り方を踏まえて検討する必要があると考えているところでございます。
 私からは以上でございます。

https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/wg/seicho/20201130/gijiroku1130.pdf#page=20

髙橋委員 法務省にお聞きしたいのです。今、公正証書の電子化については慎重な検討 が要るというお話だったのですけれども、これは検討上、今、何が問題なのでしょうか。
 そういうことを考えていないのでしょうか。一体何が検討上の課題なのか。そこら辺も明 確にしていただければありがたいと思いますが、いかがでしょうか。

岩下委員 手短に。
 今の法務省さんのお話は、要するに何もしませんということを言っているように聞こえ たのですけれども、今、社会においてデジタル化がいかに必要であるかという御認識をお 持ちでしょうか。借地借家法自体の改正というのは大変いろいろと難しいことはよく分か りますが、その話とデジタル化が必要だという話とはまた別の話であって、世の中の人た ちがデジタル化にしたほうが便利であるということは明らかなので、それをやることにな って何か戦前のような借家人の権利が侵される云々といった時代遅れの議論をしているタ イミングではないと思うのですけれども、そこは考え直していただけませんでしょうか。
 以上です。

落合専門委員 分かりました。
 御説明いただきましてありがとうございます。
 法務省のほうにお伺いしたいことがございまして、この借地借家法の各条文で公正証書 ということになっております。実際に公正証書を作成する際として、会社の定款などを作 るときも、例えば定款をチェックして2~3点ぐらい細かい修正が入ったりということが 実務として起こっていると認識しています。この事業用定期借地権等の場合については、 公証人としてはどういうものを審査しているというのが現状なのでしょうか。
 あと、そもそも公正証書による必要があるかどうかというところについて、強行規定等 の私法上の効力を限定するような整理を条文上行えばそれでも足りるのではないかとも思 われます。それで足りない審査を何かされているのではないかと思いますが、その審査と してどういうものをされているのかということを教えていただければと思いました。
 以上です。

https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/wg/seicho/20201130/gijiroku1130.pdf#page=21

○法務省(堂薗審議官) 法務省堂薗でございます。
 御質問ありがとうございました。
 まず、借地借家法のうち定期建物賃貸借、あるいは一般の定期借地権につきましては、 電子化が可能になるような法改正を早急に行う一方、事業用定期借地権のように公正証書 の作成が必要になるものについては慎重な検討が必要なのではないかということを申し上 げたところでございます。
 まず、公証人としてどのような審査をしているかというところでございますけれども、 事業用借地権の場合、「専ら事業の用に供する建物」の所有を目的とするという要件につ きまして、いろいろ限界事例等が考えられるところでございまして、一部に社員寮や社宅 がついているものがどうなのかとか、いろいろ法的な解釈が必要になる部分がございます ので、その点がこの要件に該当しているかどうかを審査しております。
 それから、この事業用定期借地権に該当すると、一般の借地借家法上の保護が受けられ なくなるということになりますので、契約の更新、その期間の延長、あるいは建物買取請 求権の行使といったものができなくなるといった不利益が生じるということを借地人がき ちんと理解しているかどうかという意思確認を行う必要がございますので、その辺りを審 査しているというところでございまして、その点についてはやはり法律専門家の関与が必 要になるのではないかというところでございます。
 それから、公正証書の電子化、要するに、公正証書を作成する際に電子化できないかと いう点につきましても、御指摘を踏まえて検討する必要があると考えているところではご ざいますが、御案内のとおり、公証実務につきましては、基本的に公証業務を行うのに必 要な経費は公証人が負担するということになっておりまして、基本的には手数料の中から 経費分を出すという前提になっておりますので、仮にこういったシステム化をする場合に は、政府の予算ではなくて公証人連合会のほうで検討する必要があるというようなところ もございます。その辺りを含めて、今日の御議論を踏まえまして、日本公証人連合会とも 協議する必要があるのではないかと考えているところでございます。
 私からは以上です。

落合専門委員 落合です。
 今、御説明いただきましてありがとうございます。
 定期借地権の部分について、本当にそもそも公正証書でないといけないのかというのが、 法的要件を、公証人を入れて審査しているという場合は極めて限定的ではないかと思います。どちらかというと借地借家法の中ですと、ほかの条文ですと例えば21条や30条などで 強行規定性を設けて弊害防止をした上で、必要があれば裁判所の司法手続等も使いやすく するようにということで対応されているのではないかと思っています。そもそも公正証書 というものを使うことが、本当にどこまで今必要なのだろうかとは思います。この点も含 めて、書面によって行うことが求められているだけであり、そして、その書面の電子化を するということで対処していくべきなのではないかとも思われます。
 ただ、一方で、今のところ第4節の定期借地権等のところには強行規定の定めがないよ うに思われますので、そこの部分は補足等をした上でといいますか、ほかの条文と同程度 の保護はされるようにした上でということではあると思いますけれども、そういうことも 御検討いただくといいのではないかというのが意見になります。
 以上です。

https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/wg/seicho/20201130/gijiroku1130.pdf#page=22

村上専門委員 ありがとうございます。
 以前法人設立の定款作成の議論をしたときに、やはり公証人の方の役割がよく分からな いまま、デジタル化が進まない要因になっていたと記憶しています。今回の回答の2つ目 のパラグラフで、電子化をするに当たっては慎重な検討が要るとありますが、これも公証 人がデジタル化の最大阻害要因になっているように私は思います。だから、公証人制度そ のものの廃止も含めて、抜本的に見直すべきではないかなと私は思います。これは意見です。

https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/wg/seicho/20201130/gijiroku1130.pdf#page=23

髙橋委員 先ほどの法務省の御回答はお金の問題だということにしか聞こえませんでし た。デジタル化の時代であれば、地方公共団体のシステムであっても国が先導的に整備す るという話になっていますので、連合会に対して法務省が予算を補助して、連合会がシステムを全部組み上げていただければ、個々の公証人の負担なしにシステムは立ち上がるの ではないかと思うのです。そういうことについて、法務省が汗をかいて財務省と交渉し、デジタル基盤をつくり上げるということを、法務省が先導的にやれば問題は解決するので はないかと思うのですが、そこはいかがでしょうか。

武井委員 まず3つ目の書面の話ですが、これは備忘なのですけれども、法務省さんに というよりは国交省さんの絡む話というか、この論点は条例でも迷惑防止条例とか書面に なっているものがいくつかあるので、条例のところも含めて対応が重要であると。さきほ どのお話だと国でどこまでできるのかという議論はあるわけですけれども、条例も含めて やっていかなければいけない話だというのがまず備忘のコメントです。
 あと、公証人に関して、どこまで本格的なシステム投資が必要なのかです。たとえば今 日のこの会議のようなオンラインの態様で行うことですら、公証人役場でシステム投資を してすごくお金がかかる話なのでしょうかという点です。今これだけ医療とかについても オンラインでやっているときに、公証人関係が医療と比べてオンラインが難しい話なのだ ろうかという気がします。オンラインで人と人とが話す、公証人と当事者とがオンライン で話すというシステムにすることでもすごくお金がかかるものなのかというご質問です。
 以上です。

○法務省(堂薗審議官) 法務省の堂薗でございます。
 予算の点に関しましては、先ほど申し上げましたように、現行法上、公証人について独 立採算制が取られているというところがありますので、その関係で法務省が予算を取って それを補助するというような形ができるのかどうかというところが問題になろうかと思い ます。その点につきましても御指摘を踏まえて検討したいと思います。
 それから、どのようなシステムを作るのか、どの程度費用がかかるのかというところも 含めまして、御指摘を踏まえて検討を進めていきたいと考えているところでございます。

https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/wg/seicho/20201130/gijiroku1130.pdf#page=24

小林議長 僕はこの辺は素人なので、感想を言わせてもらえば、公証人役場とか公証人 という存在をそもそももう一度定義し直さないといけないと思っています。僕が公証人に お世話になったときにびっくりしたのは、まず最初にマイナンバー見せてくれ、最後に実 印を押してくれと。何をやっているのかほとんどファンクションが分からない人だなと感 じたのです。基本的には村上先生が言われたように、構造的にデジタル以前の話ではない かなと。そもそも必要性はどうなんだということをもう一回考え直さないと。法務省には 考えていただきたいなと思います。
 以上です。
○大橋座長 ありがとうございます。
 今の議長のおっしゃるとおり、コメントとして法務省にも受け取っていただければと思います。
 今回の公証人の関わる制度については、電子化を求める声というのは非常に強かったということではございますけれども、村上委員から阻害要因とまで言われていますが、そういう点も含めて、今後引き続き御検討いただいて、ぜひ電子化という方向までは道筋をつ けていただければというのが委員全員の思いだったのではないかなと思われます。
 もし皆様方のほうから追加でなければと思いましたが、落合委員と髙橋滋委員からお願いします。
落合専門委員 ありがとうございます。
 私のほうも、この条文との関係で必ずしも公正証書は必要ないのではないかという話を差し上げましたけれども、気持ちとしては村上委員、小林議長がおっしゃられたことと同じようなものです。本当に公証人というのがどこでファンクションをする必要があるのか、それをよく捉え直して見てみるということが必要と思います。少なくとも今回の借地借家 法は特に必要があまり感じられなかったので強調して申し上げましたけれども、それ以外 の場合も含め全体として機能を見直して、そういうものが本当に必要なのかと捉え直すことは必要だと私も感じております。
 以上です。

髙橋委員 繰り返し申し上げますけれども、国、地方の財政負担だって地方財政法上の 基本的な原則で決まっているのを、今回、国主導で地方のデジタル化基盤を整備する話に なっているわけです。公証人法であっても特別立法でその部分だけデジタル化促進法の中 に入れてしまえば法制的には克服できる話だと思います。それを公証人の自己負担ですか らの一点張りでは世の中は変わらないのではないかと思うのですが、そこはいかがでしょうか。

https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/wg/seicho/20201130/gijiroku1130.pdf#page=25

○法務省(堂薗審議官) その点も含めて検討させていただければと思いますけれども、 上川大臣からも、公証制度につきましては時代に合わせた合理的なものとなるように検討 するようにという指示を受けているところでございまして、現在、法務省では公証制度全 体について、手数料も含めて検討を進めておりますので、そのような観点も踏まえて検討 を進めていきたいと考えております。

https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/wg/seicho/20201130/gijiroku1130.pdf#page=26

○藤井副大臣 ありがとうございます。
 本日も非常に貴重な御意見をいただきまして、ありがとうございます。
 先ほどの法務省の関係ですけれども、借地借家法における書面の電子化につきましては まさしく一括法といいますか、政府で考えておりますので、直近の改正事項に入れていた だきたいというのが1点。また、こちら、根本のも含めて電子化に向けての検討をしてい ただきたいというのはそのとおりだと思いますので、皆様の力強い意見を踏まえまして、そのような対応を求めたいと思います。ありがとうございます。

第5回(R3.02.12)

村上専門委員 村上です。
 御説明ありがとうございます。一つ気になっているのが、押印、書面、対面の見直しは手段であって、目的はデジタル化を推進することなのですが、今御説明いただいた1ページの押印の見直しの改正案で「こ れに署名しなければならない」の署名とは、電子的な署名や別の電磁的な本人確認方法で もいいという意味と解釈していいでしょうか。単に印をなくして手書きの署名が残るので あれば、何ら効果がないので、その辺りはどういう解釈になっているのかを教えていただ けますでしょうか。
吉岡参事官 回答します。行政手続につきましては、デジタル手続法という法律が既に 定められてございまして、印があるままでもデジタル手続を行うことが既に現行法の中で も可能なところでございます。
 一方で、印を残している場合には、当然、電子署名をすることになろうかと思いますが、 電子署名につきましても、成長ワーキングで御議論いただきましたように、ローカル型の 電子署名であれば、それなりの費用や負担といったものの手間がかかるということでござ いますので、完全なデジタル化社会に移行するためには、BPRとして押印のところから見直 していく必要があるということでございますので、今回、仮に紙が残る場合であっても、 押印については見直しをするという思想で法改正をさせていただいているところでござい ます。
 民民手続は以上でございます。
村上専門委員 質問の意図が伝わっていないようですけれども、ここでいう署名とは、 手でするサインのことを言われていますか。
吉岡参事官 はい。署名は手でするサインのことを言っております。
村上専門委員 もしそうであれば、押印をなくしても、書面が残ったら意味がないので はないですかということを私は言っているのですけれども、それはいかがなのですか。
吉岡参事官 押印も、書面をなくしてもいいものについてはなくしているわけでござい ますが、あくまで本人確認や意思確認の観点、事務に紛争が起こった場合に、どうしても 本人の意思の確認の観点から必要なものは残しているところでございます。
村上専門委員 それを紙の書面に限定しているのは何か理由があるのですか。ほかに方 法があるのであれば、それでいいというのは、ほかの法律で読み替えるという意味合いな のですか。
吉岡参事官 紙の手続が電子になった場合については、電子署名などで代用することに なろうかと思います。
村上専門委員 この署名は、紙に限定せず、電子署名も含んでいるという用語の定義で よろしいわけですね。
吉岡参事官 そういうことで結構です。
村上専門委員 分かりました。ありがとうございます。
○藤井副大臣 説明が分かりにくかったと思うのですけれども、この署名は、読替えで電 子署名が可能ですから、電子署名でオーケーになっていますので、大丈夫でございます。 ○村上専門委員 ありがとうございました。

https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/wg/seicho/20210212/gijiroku0212.pdf#page=28

○経済産業省(田代企画官) 田代と申します。本日はよろしくお願い申し上げます。
 このたび、資料の右下のページ数でいいますと、4ページ目にございますとおり、ハイ ブリッド型バーチャル株主総会に関する取組につきましても、バーチャルオンリーと併せ て進めているところでございます。
 昨年2月に「ハイブリッド型バーチャル株主総会の実施ガイド」を公表させていただき ました。さらなる実務への浸透を図るために、実施ガイドの別冊として「実施事例集」を 先週2月3日に公表させていただきました。
 具体的な内容としましては、リアルとオンラインの併用のものでございますけれども、 企業がハイブリッド型のバーチャル株主総会を実施する際に、論点となると考えられる事 項につきまして、これまでの実施事例を御紹介する、また実際の運用における考え方を提 示しているところでございます。その作成に当たりましては、実施した企業に対するヒア リングを集中的に実施いたしまして、経済界の実態把握に努めるとともに、パブリックコ メントを実施いたしまして、幅広い皆様から声をお伺いさせていただいて策定したところ でございます。
 具体的な中身につきましては、資料の4ページ目の下の表に論点をお示ししております けれども、例えばとして例を挙げさせていただきますと、左側の「参加型・出席型共通の 論点」として、配信方法でございますが、インターネット等を通じるとか、音声を活用す るといったことも可能だということをお示しするとか、(6)にございますとおり、肖像権の配慮についても撮影・録音・転載などを禁止するといった対応を、考え方を併せて実施事例で御紹介することによって、実務への浸透を図っているものでございます。
 また「出席型の論点」としてというところではございますけれども、例えばですが「(12)質問の受付・回答方法」ということで、合理的な取扱い方ということで、質問の受付についても考え方などをお示しするということで、今後のハイブリッド型のバーチャル株主総会の実施に当たって、お役立ていただけるような形でお示ししたところでございます。
 以上でございます。
大橋座長 どうもありがとうございます。
 それでは、残りの時間を使って御意見あるいは御質問を受けられればと思いますが、いかがでしょうか。ございませんか。
 それでは、高橋議長代理、お願いします。
高橋議長代理 ハイブリッド型の株主総会の事例ということで細かくお示しいただいていますが、他国も似たような状況に直面しているとは思うのですけれども、他国でのバーチャル株主総会の実施内容と、今回日本で示されたものは大体平仄が合っているという感じでよろしいのでしょうか。ガラパゴスになっていないかどうかだけ聞きたいのです。
大橋座長 経済産業省、そこの辺りはいかがでしょうか。
 これは企画官ですか。
○経済産業省(田代企画官) 田代でございます。
 ありがとうございます。まさに世界でバーチャル株主総会が進展してくる中で、我々も事例集の中でも海外の取組の状況なども御紹介させていただいたり、こうやって新しい取組を進めていくことが御懸念の点に対応することになるかと思っているところでもございます。
 また、その中で、各国の制度で異なるところはもちろんございますので、当然ながら日本固有の点はあると思うのですけれども、バーチャル株主総会の活用も推進していくことが御懸念の点に対応するところかと考えております。
大橋座長 一応、海外の制度も踏まえた上での今回の取組というところだとは思っていますけれども、議長代理、どうでしょうか。よろしいですか。
高橋議長代理 はい。海外の動きも踏まえた上で、こういうことになっているということであれば、それで結構です。
大橋座長 ありがとうございます。
 村上委員、お願いできますか。
村上専門委員 1点確認なのですけれども、資料5-1の法務省の回答で、令和3年9月30日まではウェブ開示を認めるということになって、それ以降はないというのは、それ以降は経産省がお示しになったバーチャル株主総会のほうで全部引き取れるから、これは時限的な法律になっているという解釈で合っていますでしょうか。基本的なことを教えていただければと思うのです。
吉岡参事官 事務局からお答えします。
 株主総会資料の電子情報提供制度につきましては、令和元年の会社法の改正の中で既に措置されているのですが、システム改修に時間がかかるということで、施行がかなり先になります。ですので、ウェブ開示の省令でつないでいくことがどうしても必要になってくることになります。期限が9月30日に切れるということでございますので、規制改革推進室としては、引き続きこれを延長する方向で法務省に求め続けようと思っています。
 法務省の言い分としましては、これはコロナ対策であるので、緊急の措置であるので、一応時限でやらせてくださいと我々に対して主張しているところであります。
 以上です。
村上専門委員 では、法務省はまだ継続すると言っているわけではないということで、今後、まだ調整しなければいけないという理解ですね。
吉岡参事官 それで結構でございます。調整が必要です。
村上専門委員 分かりました。どうもありがとうございます。

第6回(R3-02-25)

○日本電子計算株式会社(高山部長) 共有しながら進めさせていただきたいと思います。

 「アジャイル型システム開発の事例」ということで、御説明させていただきたいと思い ます。弊社は、システム開発の受託会社の位置づけでお話し申し上げたいと思います。

 アジャイル型開発の前に、一般的な従来型のシステム開発の特徴をお話し申し上げたい と思います。こちらは、ウォーターフォール型と申しまして、システム開発の工程を順々 に重ねながら進めていく形のものでございます。一般的なシステム開発は非常に開発規模 が大きいことが多くございます。数百人月、数千人月といった規模、開発期間も半年や数 年に及ぶものが多いところでございます。ですので、物を作ってテストをした後に、そこ で仕様が間違っています、仕様が変更になりますと言いますと、大きな手戻りが発生しま して、それまでの作業がある意味で無駄となるということがございます。そのために、一 個一個の工程で品質評価をしながら進んでいくというのが一般的でございます。中でも、 最初の外部仕様を固める、お客様の要件を固める上流工程と呼ばれているポイントが非常 に重要でございまして、ここで仕様を固めて、その仕様に基づいて作業をしていくことに なります。逆に申し上げますと、この最初の上流工程につきましては、まさに仕様が不明 確というところがございますので、一般的に、受託会社としますと、成果物責任を負うよ うな請負型の契約はあまりいたしません。準委任型の契約で上流工程を進めていきます。 この上流工程で仕様が固まったところで、下流工程の物を作るといったところで成果物責 任ありの請負契約としていくのが一般的でございます。

 今日の御議論、アジャイル型の開発でございます。こちらに特徴的な話としますと、言 わば新規の業務を実験的にやるような開発が多くございます。ですので、開発規模も小さ くて、開発期間も短く、数か月や場合によっては1日や週単位で納期となるような開発が発生いたします。そういうことを求める開発に適しているのがこのアジャイル型開発と御 理解いただければと思います。こういった新しいものは、仕様が不明確でございます。ま た、急な仕様変更や案件外の要因の割り込みも随時発生してまいります。ですので、優先 順位が変わることが非常に多く発生するということで、まさに作りながら仕様を確定する、 プロトタイプを作って見える化をして仕様を固めて作っていくということになります。そ の点、途中でこの仕様はやめましょうとか、順番を変えましょう、場合によっては打ち切 りますといったことも、ある意味、日常的に行われる可能性があるということでございま す。ですので、受託者側からしますと、いわゆる請負型、成果物責任で行うのは難しいと いうところでございます。課題はあるものの準委任型の契約で最初から終わりまでいくこ とが多いと思っております。こういった開発につきましては、委託者側と受託者側がチー ム一丸となって同じ場所で一緒に働いてフラットなコミュニケーションを行うことが必要 であり、そういう特徴を持っているとお考えいただければと思います。

 このアジャイル型の契約の課題でございますが、先ほど大臣からお話もございましたよ うに、偽装請負が鍵といいますか、ネックになってございます。チーム一丸となって同じ 場所で一緒に働いてフラットなコミュニケーションを行うことと準委任における作業指示 を遵守することを、ある意味、両手で話を進めていくことが必要になってくるところが課 題となっているところでございます。

 弊社としても、このアジャイル型に関してもやっていかなければいけないというところ でございますが、まず、いわゆるお客様との受託契約という前に、社内システム、社内で 作っていくシステムにつきましてこうやっていこうということで、アジャイル型開発も管 理ガイドラインを整えながらまずは社内でやってみようとしてございます。その話を申し 上げたいと思いますが、先ほど申し上げましたように、下の段のようないわゆるフォーマ ルな指示系統は、受託契約がされている場合は、実際に開発される前に委託者から受託者 に対して開発スコープの指示がされます。細かい一個一個の開発の束、スプリントといい ますけれども、そのスプリント計画のところで詳細化して合意するという作業がされます。 実際にスプリントと呼ばれる開発の束になりましたら、現場の中で、お客様と受託者側、 さらには私どもから再委託するメンバーもございます。そういったメンバーが一体となっ て日常的に会話をして進めていきます。そのときに、システムを使うときもございますし、 ツールを使うこともございます。先ほど申し上げましたプロトタイプを作ってみるといっ たこともございます。その結果、試行錯誤をして、朝令暮改といいますか、やめたり変更 するといったことがリアルタイムで行われてまいります。先ほど申し上げました指示系統 という話とコミュニケーションの間でそごが出てきますと、偽装請負が懸念される場合が 出てきます。ある意味、切り分けてそごのないようにすることは現場に負荷がかかってい るところかと思っております。弊社としましては、まず、社内システム、この辺をシミュ レーションして、今後、お客様に向けて受託契約を進めていきたいと思っているところで ございます。

 今日は、こういった開発に携わっているエンジニアがおりますので、現場で働いている エンジニアの感想を少しお話しさせていただきたいと思っております。

 伊藤さん、内海さん、忌憚のない御感想をお話しいただけますでしょうか。 ○日本電子計算株式会社(伊藤担当) 日本電子計算の伊藤と申します。よろしくお願い いたします。

 まず、先ほどからお話に挙がっておりますとおり、仕様変更などによる作業追加はウォ ーターフォールと比較して多いですけれども、仕様変更などが発生しても手戻りが限定的 で、手戻りに伴う修正規模が非常に小さくなったので、アジャイル型開発になって仕様変 更などの負担が減ったと感じております。

 また、プロダクトオーナー、発注元がステークホルダーの意見を集約してバックログ化 しており、また、外部から開発者への直接の指示があった場合には、スクラムマスターが 制御・ブロックをするために、外部から開発者への直接の作業指示がなくなり、開発者は 作業に集中しやすくなったと感じております。

第7回(R3-03-24)

https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/wg/seicho/20210324/agenda.html

不動産の地番と地図の連携が取れていない

https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/wg/seicho/20210324/gijiroku0324.pdf#page=2

河野大臣 今日もワーキング・グループ、お忙しい中、誠にありがとうございます。ど うぞよろしくお願いいたします。

 今日、ベースレジストリと呼ばれている公の情報、国で整備をする土地・道路とか法人、その他、様々な情報を整備していかなければいけないということが言われております。私は、今、日本とデンマークの友好議員連盟の会長を仰せつかっておりますけれども、デン マークでは、公的情報を整備・活用することによって、15年で約1200億円程度の経済の押 し上げ効果が得られるという試算があります。日本はデンマークと比べるとGDPの規模で 10倍から15倍ぐらい大きいわけですから、日本に当てはめれば相当な効果が、このベース レジストリの整備で得られるということです。

 既に不動産の登記簿とか商業登記簿のように、台帳として整備されているものは日本で もありますけれども、それを連携してデータ活用をしようということが少しも進みません。 不動産の地番、地図を取り上げても少しも連携が進まないのはなぜなのか、といったボト ルネックを少し御議論いただいて、どうやったらこうしたことが解消できるのかというこ とを御議論いただきたいと思います。

 また、ほかの規制改革の場面でも、例えば日本の場合、住所を書くときに「赤坂1丁目 2の3」、「赤坂1-2-3」と書くのか「赤坂1丁目2番3号」と書くのか、住所の書 き方にしてもばらばらですし、国際的なワクチンパスポートの議論がされておりますけれ ども、公の情報の中に個人の名前をアルファベットで記入したものがありませんから、例 えば国際的な証明書を出すときに、どのように出すのかというようなことも実は決まって いないというようなことがほかでも議論されております。

 霞が関で連携をして、情報の連携をどのようにやっていったらいいのか、どうやったら いち早く実現できるかという視点で御議論をいただきたいと思います。不動産に限らずIT 室、デジタル庁を中心として、法人情報をはじめ様々な分野について、いかに公の情報を 整備するか。何でできないというのではなくて、こうやったらできるという視点からスピ ード感を持って議論をしていただきたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたます。

不動産のデータベースの整備、住所と地番、手続きのデジタル完結

○一般社団法人新経済連盟(小木曽政策部長) 新経済連盟政策部長の小木曽でございま す。お時間いただいてありがとうございます。

 今日、大きく言いたいことは3つでございます。

 1つ目が、ベースレジストリとして不動産関連のものを明確に位置づけてほしいという ことです。経済効果としては、少なくともGDP30兆、先ほど河野大臣が1200兆の話をされた ので、数字を抑制的に考え過ぎたとも思いますのでもう一回考え直したいと思いますが、 少なくとも30兆あると思います。

 それから、社会効果としては所有者不明土地問題、それから、空き家問題の解決になる と思っています。不動産のデータベース整備の話は、国交省で数年前、ずっと実証をやっ ていたのですけれども、今はもうやっていません。これを復活させること、あと、国交省 分野だけではなくて、いろいろな分野について横串で全体の不動産関係のデータベースを つくってほしいということです。これが1点目です。

 それから、2つ目が、先ほど大臣からありましたが、それをつくるのにボトルネックが あればそれを解消するということです。プライバシーの話がよく挙がってきます。これに ついて、今こそデジタル庁ができたのを機に、縦割りを打破して、横串でトータルデザイ ンをつくる時代になっていると思っています。それが2つ目。

 それから、3つ目。これに併せて、不動産登記関連手続き全体のデジタル完結を実施す るということです。これをやると、今言った、少なくとも30兆円以上の経済効果が発生し、 種々の社会問題の解決にもつながると思っております。

 具体的に資料に沿って説明させていただきます。

 1ページ目を御覧ください。 2つ問題がありまして、取引コストが高く、不動産流通が活性化していないということです。不動産テックとよく言われますけれども、不動産テックの手前の状態だと思ってお ります。完全にデジタル化されていない、それから、IDで連携できる、突合できる情報シ ステム基盤がない、これが1点目です。

 2点目が、空き家問題、所有者不明土地問題などです。登記情報と実態が乖離している ため、適切な対応ができず、不動産流通そのものが停滞している。これを全て解決できる のがベースレジストリの今回の話だと思っております。

 2ページ目をお願いします。

 2ページ目は、実際に事業者として対応コストがかかっているかということで、少なく とも1年間に1.3万人分かかっていると試算をしております。

 3ページ目です。

 3ページ目はIDでデータが突合できないので、不動産会社がいろいろなところに行かな くてはいけないという状況を表している資料、国土交通省が作成した資料を貼り付けまし た。これがデータができてIDで突合しているとこういう無駄が発生しなくなるという趣旨でございます。

 4ページ目。 空き家問題ですけれども、関係者にヒアリングをしました。登記情報はそもそも現状と乖離をしております。所有者特定のために数十万から100万円以上かかる可能性もありま す。現状では納税通知書の情報で所有者の特定を代替させていますが、こういった事務が 地方公共団体等における行政事務のかなりの負担にもなっております。これらを解決しな ければならない。

 次のページをお願いします。5ページ目です。

 5ページ目は具体的な例です。登記でどうなっているかというと、例えば、××半左エ 門さんみたいな登記が実際に残っていて、今、これは誰なのだということについて、探す のにものすごく膨大なコストがかかるということです。

 具体的な要望、6ページ目でございます。

 要望事項の1番目、不動産分野におけるベースレジストリの内容具体化と整備運用とい うことです。我々は4年前に自民党等で提言をしておりますが、不動産IDというものをつ くるとともに、情報連携基盤として不動産情報バンクというのをつくっていただく、これ をベースレジストリとして整備をしてほしいということです。

 国交省が不動産総合データベース構想というのを昔やっていましたが、2017年3月に終 了しております。これにはいろいろな理由があると思いますが、恐らくプライバシーの問 題もあったのではないかと推察しております。

 要望事項の2番目として、地番とか住居表示等のデータと個人情報保護法との整理の問 題です。後ほど各省庁から御説明があるのかと思いますが、もともとこれは個人情報保護 法上で実は隠れた課題として、ほかの情報と突合すると個人が特定できてしまうという情 報、いわゆる散在情報をどのように管理するかということでございます。

 要するに、持っていること自体というよりは、利用の時点で個人情報として特定されて 問題になると思いますので、そこの適正利用をどう確保するかという観点からの制度設計 の工夫で柔軟な対応できるのではないかと思っております。来年4月施行予定される改正 個人情報保護16条の2でもそういうような規定がございます。こういうものと併せもって 具体的な突破口が開かれるのではないかと思っております。

 それから、最後、3番目はデジタル完結ということで、オンライン申請は今でも不動産 登記申請できますが、それの周知徹底と活用、それから、添付書類などを含めたデジタル 完結など、いろいろなことをしてほしいということでございます。

 時間がないので、7ページ、8ページ、9ページ目は後で読んでいただければと思いま す。

 10ページ目をお開きください。不動産情報システムの最先端の事例を紹介させてくださ い。

 ドバイでは、ブロックチェーンを活用しています。

 それから、11ページ目。

 具体的に分かっていただきたいと思います。不動産IDというもので管理していまして、 30分以内に登記と抵当権の設定が可能になっております。それが11ページ目です。

 12ページ目。画面イメージですけれども、権利・抵当権・不動産の取引の個々の価格、 それから家賃が全てマッチングして数字が見られるような状況になっています。これが世 界の最先端事例ということでございます。

 13ページ、14ページ目は、現状の制度の整理をしているので、これは割愛させていただ きます。

 15ページ目は御参考です。

 実はこういった問題は、総務省の統計委員会も不動産管理についてデータベースをつく るときにどういう問題があるかということで、個人情報との関係が問題になってくるとい うことを指摘しているものでございます。なので、政府としてもこういう問題があるとい うことを認識していたということですので、今回これをまさに整理をする時代に来ている ということでございます。

 16ページ目は、オンライン利用率の向上という観点からも別途またいろいろ議論はされ ていくと思いますので、今日はどういう改正項目一覧があるかということで御覧いただけ ればと思います。このようなものが全部解決していかないと徹底的なデジタル完結という ことにはならないという趣旨でございます。

 最後、17ページ、GDP30兆円等の経済効果を具体的に書かせていただいております。

 18ページ目、社会的効果として、今まで述べたこと以外に具体的な行政機関としての対 応コストも下がりますし、国民に対するタイムリーな行政サービスの実現、それから都市 行政・土地行政に関するEBPMの推進ということにもなります。このベースレジストリを不 動産分野において整備をすること。それから、その整備に当たって障害要因は縦割り打破 で今度こそ整理をすること。これらが必要だと思っております。

 以上でございます。

農地水産地理情報共通管理システム(eMAFF地図)

https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/wg/seicho/20210324/gijiroku0324.pdf#page=7

○農林水産省(信夫審議官) 信夫です。よろしくお願いいたします。

 資料1-3、農林水産省地理情報共通管理システム(eMAFF地図)による農地情報の一元 的管理と活用についてに基づき御説明をいたします。

 規制室のほうからこのeMAFF地図に向けた取組の内容や実施したいこと、直面している 苦労や課題について説明するようにとの御用命がございましたので、ベースレジストリの 整備の議論の参考になれば幸いでございます。

 まず、eMAFF地図についてでございますが、3ページ目を御覧いただきたいと思います。

 左の図にありますように、農地情報は、地方自治体をはじめ様々な農政の実施機関で保 有されておりますが、機関ごとにばらばらに収集・管理されています。このため、農業者 が同じ情報でも都度申告しなければならない上、それぞれの機関で縦割りで収集・蓄積さ れ、相互の突合作業も十分行われず、入力や地図化も手作業、現地調査には別々の地図を 持っていくという手間暇のかかる実態となっております。

 農業者や自治体職員の数が減る中で、このような状況を放置することは許されず、これ を抜本的に改めていくため、当省所管の行政手続のオンライン化を実現する農林水産省共 通申請サービス、「eMAFF」と呼んでおりますけれども、eMAFFの導入を契機に、現場の農 地情報を統合し、一元的に管理できるデジタル地図「eMAFF地図」の開発に着手いたしまし た。これが完成すれば、右の図にありますように、農業者による効率的な申請はもとより、 農地情報の管理業務の軽減、何よりも最新で正確なデータが反映された地図による現地業 務の抜本的効率化、さらには、将来的には右側にあるような様々な用途やサービスへの活 用が可能となり、農地の有効利用の実現に貢献するものと考えております。

 eMAFF地図の完成のためには、4ページ目に図示してありますように、様々なデータベー スや台帳を連携させていく必要があります。具体的には、5ページ目に整理してあります けれども、ベースレジストリとしてどの範囲のデータを言うのかというのは、今後の政府 全体の議論で決まっていくと考えておりますが、どの制度でも電子地図を活用することを 前提とした場合、区画、地番、緯度・経度といったデータが正確に整備される必要があり、 また、効率的に活用するためのデータ連携には、個別の台帳のデータをひもづけていく作 業やIDコードの整備が必要になります。しかしながら、実際にひもづけ作業などを行って いこうとすると、様々な困難に直面をいたします。

 6ページ目でございますが、最初の大きな困難は、データのひもづけそのものが難しい という問題でございます。同じ土地であっても異なる表記がされている各台帳に共通キー がなく、ひもづけが難しい上、登記簿ベースと現況ベースのデータが必ずしも1:1対応をしません。また、7ページ目にありますように、地番の異体字・外字や表記ゆれの問題 があり、コンピューター処理をするにはデータクレンジングを行う必要があります。

 9ページ目をお開きください。 2つ目の大きな混乱は、個人情報の取扱いに差があることが挙げられます。 異なる行政機関の間で、それぞれが保有する地理情報を共有しようとする場合、個人情報が含まれていることがありますが、行政機関の間で個人情報の取扱いに差があったり、 地番等の地理情報が個人情報とされる場合もあることから、統一的で均一的な農地情報の データ整備が困難となっております。

 例えば、実務上、農地法に基づく固定資産台帳と農地台帳の突合とか、あるいは市町村 税部局が不動産登記簿の地図・公図を基に区画データ・地番データ等を整理する地番図を 農業委員会に共有していただいて、それと突合するようなケースがございます。一方で、 eMAFF地図の基礎データとして、不動産登記簿の地図、つまり地籍調査が終わった正確な地 図、いわゆる14条地図でございますけれども、その電子データの提供を法務局さんにお願 いしようとする場合、地番が個人情報に当たる可能性があることから、個別の行政作用法 に基づく具体的な法令の根拠が必要ですという説明を法務省さんのほうからこれまでいた だいております。この場合、他の用途に利用することは困難で、国による統一的な農地情 報の整備を進めにくい一因となっていると考えております。

 また、市町村の税務部局が作成する地番図は、一部自治体でインターネット公表してい るケースがある一方で、自治体内でも共有を限定しているケースもございます。総務省さ んの協力を得まして、当方から情報共有が可能な旨、全国の農業委員会に通知を出してお りますけれども、約4割の市区町村で共有がなされず、農地台帳の更新への活用ができて おりません。

 3つ目の大きな困難といたしましては、10ページ目でございますが、農地情報の更新や 区画情報の確認に有用な不動産登記簿の地図そのものが電子データとして活用できないケ ースがあるということが挙げられます。

 オープンデータとして地図データを活用するには、XMLファイルになっている必要がご ざいますけれども、その中に14条地図ではない公図等を基にした位置情報が不明な任意座 標系のファイルが混在しておりまして、これを他のデータとひもづけて使うのは相当な困 難が伴います。

 左の図は公共座標系と呼ばれる位置情報と地番情報を持った地図のXMLデータですが、 これであれば同じく位置情報を持った筆ポリゴンなどとのひもづけ等が容易であります。 一方で、右の図のように、位置情報が不明な任意座標系のXMLデータを地図ソフトに表示 してみたところ、緯度・経度がゼロ度であるアフリカ大陸のギニア湾のあたりに土地デー

タが配置されてしまいました。 あとは例外的なケースかもしれませんが、下のほうにあるように、ある自治体の14条地 図の電子データでは、公共座標系が2割弱、8割強が任意座標系となっており、これでは 8

 位置情報から整備をしなければならず、効率的な利用が困難な状況になってございます。 こういった現況を踏まえまして、11ページ以降に、誠に僭越ながらこうあったらいいと思うことを3点ほど課題として整理をさせていただきました。 まず、共通の地番コードの整備の必要性があると思います。表記ゆれ等の問題を解決するには、地番の表記を統一することが考えられますが、なかなか難しくて相当な時間と労 力を要すると思います。そこで土地全体について、一意なコードのルールを作成して、電 子化するに当たっては、不動産登記法で個別の土地に付与された地番と一意なコードのリ ストを開示し、共通的に利用することで、表記ゆれがあったとしても台帳やシステム間の ひもづけが可能になるのではないかと思います。

 ただし、この場合でも、個々の台帳にコードを入力するのは手作業になり、かなりの労 力を要するという問題が残ります。ほかに方法はないものか、何かお知恵を拝借できれば 幸いであります。

 12ページ目でございます。 2つ目は、個人情報についての統一的な見解の整備と運用の必要性でございます。 個人情報保護は当然行政機関に求められるものでありますけれども、行政データは可能な限りオープンデータとして広く活用すべきということも、データ戦略タスクフォースの 第一次取りまとめでも指摘されています。特にベースレジストリに当たるデータの情報共 有は最低限必要なのではないかと考えております。

 今国会には、いわゆる2000個問題に対応して「個人情報保護」と「データ流通」の両立 に必要な全国的な共通ルールを設定するための法案が提出されていると承知しています。 農地あるいはほかの土地もそうでございますけれども、区画、地番、緯度・経度データ等 については、個別法や各政策の目的の達成のためには共通に必要なデータであって、統一 的な取扱いがなされるよう、統一的な考え方が整理されることを期待しております。特に、 市町村税務部局で作成されている地番図は、これらのデータが入ったものが多く、非常に 有用であり、広く活用がなされるように検討が進むと大変ありがたいと思っております。

 最後、13ページ目でありますけれども、3つ目の課題として、広く農地関連の台帳整備 が抜本的に効率化されるような取組をお願いしたいと思っております。

 先ほど、市町村税務部局が作成している地番図について申し上げましたけれども、この 地番図も、大元は不動産登記簿でございます。市町村の農業委員会も、農地台帳の正確性 の確保に必要なデータを不動産登記簿から得られれば、税務部局にお願いする必要もござ いません。

 難しいのは承知の上で申し上げますが、地籍調査や登記所備付地図整備事業、あるいは これに代わるような方法があれば、ぜひ強力に進めていただいて、あわせて、既に調査等 が終了した地域も含めまして、公共座標系の電子データを整備していただき、行政作用法 の根拠など特段の条件をつけずに御提供いただければ、農地の有効利用につながる精緻な 地図情報の整備が可能となるため本当にありがたく思います。これが進んで行政機関間で

 最新のデータが自動的に共有できるようになれば、自治体の負担も軽減し、農業者も最新 の情報を取得ができ、eMAFFでの申請も楽にできるようになると考えております。

 以上、お願いばかりで恐縮でございますけれども、御協力をお願いする次第でございま す。ありがとうございました。

地番の個人情報該当性について

https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/wg/seicho/20210324/gijiroku0324.pdf#page=11

○法務省(沼田室長) 所有者不明土地等対策推進室長の沼田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。 それでは、資料1-5-2を御覧いただきながら説明をお聞きいただきたいと思います。 論点を4ついただいております。論点1から順次説明をさせていただきます。 まず、資料の青い部分「論点1 地図データ(XML形式)の提供方法について」でございます。 法務省では、不動産登記法が規定します一般的な登記情報の公開方法、これは登記事項証明書とか登記情報提供サービス、これはインターネットによって提供させていただいて いますが、これとは別に官公署から管轄登記所に対して、法令上の根拠に基づいて地図デ ータの提供の依頼がありまして、その使用目的が当該法令の趣旨に照らして相当と認めら れる場合には、当該官公署に対して当該地図データをオンラインまたは電磁的記録媒体で 提供させていただいているところです。

 この場合、地図データには地番を含むXML形式での提供依頼に対して、これに応じること は可能でありまして、現に行っているところでございます。また、またこの依頼につきま しては、個々の不動産を特定することなく、地番区域をもって依頼することができること としておりまして、案件に応じて都道府県単位ごとに地図データを提供するなどの柔軟な 対応を行っております。

 具体的を一つ申し上げますと、例えば平成26年度、全国農業会議所において、農地法第 52条の3第2項に基づく農地に関する地図の作成及び公表の基礎データとして活用したい ということで御依頼がありまして、都道府県農業会議、または農業委員会からの依頼に応 じまして、法務局、地方法務局から都道府県単位で全国分の地図データを提供している実 績がございます。

 また、官民データ活用推進施策の一環としまして「未来投資戦略2017」「世界最先端デ ジタル国家創造宣言・官民データ活用推進基本計画」、これらにおきまして、令和3年度、 来年度になりますけれども、登記所備付地図のデータの提供を可能とするとされておりま す。これを受けまして、法務省では、地理空間情報活用推進基本法第18条2項に基づきま して、毎年、全国分の地図データをXML形式でG空間情報センターに提供し、このセンター を介しまして一般に地図データを公開するということを予定しております。

 この地図データに関しましては、G空間情報センターのホームページからダウンロード することが可能となるということでございます。

 続きまして、論点2でございます。 資料の下半分になりますが、黄色い部分でございます。 まず「地番の個人情報該当性について」ですが、前提としまして、不動産登記や地番情報等のデータの提供の実現につきまして、当省として地番等の情報が保有個人情報、これ は行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律、「行個法」と読んでいますけれども、 この2条5項の「保有個人情報」に該当するものか、あるいは、該当する場合にあっては、 本来の目的以外の目的で第三者、これは提供先となる他の行政機関でございますけれども、これに提供することについて、行個法8条との適用関係がきちんと整理されるかどうかに ついての検討が必要であると考えておりまして、他方で、提供先となる他の行政機関から 個人情報を公開する際の個人情報の取扱いに関しましては、当該他の行政機関等における 行個法の適用の問題であるという認識しております。

 次に、地番の個人情報該当性ですが、地番を含めまして、土地や建物の所在を示す地理 空間情報、これは不動産登記情報と照合することによりまして、特定の個人を識別するこ とができることから、当該照合によって特定の個人を識別することができることになりま すので、この地番も含めて保有個人情報に該当するものと認識しております。

 これにつきましては、地理空間情報の活用における個人情報の取扱いに関するガイドラ インが地理空間情報活用推進会議において公表されておりますけれども、このガイドライ ンの考え方によったものでございます。

 したがいまして、本来の利用目的外の利用、提供に当たりましては、行個法8条1項の 法令に基づく場合の例外か、行個法8条2項各号に該当することが必要になるものを理解 しております。

 また、行個法第8条2項2号の、法令の定める所掌事務の法令とは、設置法上の規定で 足りるかどうかというお尋ねもございましたけれども、抽象的、一般的な行個法の解釈論 であるため、行個法の所管部署において見解をお示しいただきたいと思います。

 なお、8条2項2号は、行政機関内部において、保有個人情報を本来の目的以外の目的 で利用する場合の規定でございますので、保有個人情報本来の目的以外の目的で他の行政 機関へ提供する場合の規定につきまして、同項3号になるものと考えております。

 資料のほうを1枚おめくりいただきまして、論点3でございます。 オープンデータのための行個法第8条1項の活用についてでございます。 法務省といたしましても、オープンデータの重要性については十分認識しております。

 論点1で申し上げたとおり、官民データ活用推進施策の一つとして、令和3年度までにG 空間情報センターを介して、地図データの提供に取り組むこととしております。

 なお、当該地図データに地番を含むことは十分あり得ると考えていますけれども、その 際は、地理空間情報の活用における個人情報の取扱いに関するガイドラインにおいて、地 番を提供することが可能であるという旨が明確化されることを希望しております。

 当省としては、地番が個人情報に該当しないと改めて整理することを否定するものでは ございませんし、仮にそれが困難でありましても、行個法第8条1項の法令に基づく場合 の法令に地理空間情報活用推進基本法第18条2項、これが該当すると整理することも考え られますし、また、行個法8条2項4号の保有個人情報を提供することについて、特別な 理由があるときに該当すると整理する方向で検討することについて、当該ガイドラインを 所管するという地理空間情報活用推進会議事務局、これは内閣官房地理空間情報活用推進 室でございますが、これらに提案をしてきたところでございます。

 続きまして、論点4です。資料の下半分のほうを御覧ください。

 地図の整備についてと、個人情報に属する可能性のある情報以外の情報の個人情報該当 性について、2つのテーマをいただいております。

 まず、1つ目ですが、不動産登記簿の地図情報は、緯度・経度情報が付されていないと の記載がございました。この趣旨、明確ではないのですけれども、緯度・経度情報が付さ れていない地図というものは、明治期に作成されました、いわゆる公図であれば、公図は 不動産登記法上は14条4項の「地図に準ずる図面」というものを指しているものでござい ますが、御指摘のとおり、現在においても、この登記所備付地図、世界測地系の座標値を 有するものの整備が全国的に完了をしている状況ではございませんので、この緯度・経度 情報がない公図については、当該地図が備えつけられるまでの間、これに代えて公図を備 えつけるということでされているものでございます。

 登記所備付地図には、法務局が実施する登記所備付地図作成作業により作成されるもの のほか、国土調査法に基づく地籍調査の成果として登記所に送付される地籍図、土地区画 整理事業、土地改良事業等において作成され、その登記の際に提出される所在図もござい ますけれども、現在も各省連携を図りつつ、公共座標値を有する地図の整備の推進に取り 組んでいるところでございます。

 2つ目です。

 「不動産番号」や「地番を含む地図情報」については、不動産番号や地番を用いて、不 動産登記情報と照合することによりまして、特定の個人を識別することができるために「保 有個人情報」に該当すると私どもは考えております。

 なお、地目や地番を含まない地図情報につきましては、その情報単体で保有しているも のではないわけですけれども、仮にそのような情報、これらの情報を除いて非識別加工が された情報を作成して保有したとすれば、これは保有個人情報に当たらないと考える余地 があるものと理解しております。

 説明は以上でございます。

住居番号は個人情報か?

https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/wg/seicho/20210324/gijiroku0324.pdf#page=16

○総務省(平野理事官) 承知しました。

 住民制度課でございます。

 御質問は、住居表示につきまして、住居番号が個人情報に該当するかという御質問をい ただいております。住居表示につきましては、住居表示に関する法律というのがございま して、この3条において、議会の議決を得て公示することになっておりますので、一般に は公表されている情報には当たります。ただ、先ほど法務省様にも御説明いただきました とおり、地理空間情報活用推進会議のガイドラインにおきまして、地番や住居番号等の特 定の土地や建物の所在を示す地理空間情報であって、特定の個人との結びつきや、その居 住等の事実と関連づけられているものにつきましては、基本的に個人情報として取り扱う 必要があると示されておりまして、そのように認識しているところでございます。

 私からは以上でございます。

どんな情報でも個人情報として扱われる場合もあるし、そうではない場合もある

https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/wg/seicho/20210324/gijiroku0324.pdf#page=19

○岩下委員 岩下でございます。私は本ワーキング・グループの外からですが、今日は大 変興味深い議論をなされているので参加させていただきました。

 今ほどの議論をざっとお聞きしておりまして、やはりこの個人情報であるかないかみた いな議論というのに、行政機関が自縄自縛になっているなというのを改めて感じたところ であります。もちろん、個人情報は保護する必要がありますし、そのための個人情報保護 法、行個法なのだと思いますが、それは決して有効な活用を妨げるというものではないと 皆さんおっしゃったわけですよね。片や、何が目的だというと、個人を保護するのが目的 なので、地番によって個人が特定されるのはあり得ます。メールアドレスだって、様々な IP アドレスだって、個人を特定し得ますから、それは個人情報を形成することは当然あり 得るわけですが、それによって特定の個人を、まさに限定して、その人に対して何がしか のことを行うということがあるから、それは個人情報だよみたいな議論になるのであって、 今回、議論をしているように、ばさっと、ある地域の全体の地番を登録してデータベース で活用しましょうみたいな話をするときは、そこの中に住んでいる人たち全ての人たちの 権利をどうこうするという話ではないはずです。

 そもそも、先ほどから何度も出てくるガイドライン、地理空間情報の活用における個人 情報の取扱いに関するガイドラインの中で、何やら個人情報ですということを限定的に書 いてあることが、それがすごく尾を引いて、いろいろなところで、個人情報だから駄目で すということが、特に市町村レベルだと起こっているというのは明らかに見て取れるので、 そこはぜひ、大元のところを改めたほうがいいのではないでしょうか。

 その上で、まさに原則のとおり、どんな情報でも個人情報として扱われる場合もあるし、 そうではない場合もあるので、地図が全て個人情報だと言ってしまったら地図書が売れな くなってしまうから、そんなことはないはずなので、そういう意味で常識に沿った形の対 応が取れるような形に持ってくるのが当然だと思います。そのための一つ大きなとげを抜 くという意味で、先ほどのガイドラインの部分について見直しを行っていただくのが一つ 重要なのではないかと思うのです。

 以上です。

今の登記がいろいろな意味で限界がある

https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/wg/seicho/20210324/gijiroku0324.pdf#page=31

○岩下委員 私も実は法務省さんにお聞きしたかったのですけれども、今の議論はどちら かというと法務省さんの登記情報を農水省さんなどが使うという方向で議論をしています けれども、ベースレジストリというからには、それを国として一個のベースとして使って、 それを、それこそ登記とかに使うということが目的なのではないですか。もちろん、いろ いろな制約があるのは分かるのですけれども、今の登記がいろいろな意味で限界があるの は、不動産関係のことをやったことがある人はみんな知っているので、だから、そこをち ゃんとした座標系を入れて、登記の情報も精緻化していくために、逆に法務省さんも使う という方向で御検討されたほうがいいのではないでしょうかということなのですけれども、法務省さんはどういう御見解なのかというのをお聞きしたかったということです。 私からは以上です。

第8回(R3-04-08)

https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/wg/seicho/20210408/agenda.html

概略

https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/wg/seicho/20210408/gijiroku0408.pdf#page=2

○河野大臣 おはようございます。お忙しい中、本当に、朝一番からのワーキング・グル ープに御出席いただきまして、本当にありがとうございます。

 成長戦略ワーキング・グループは、これからの2回、デジタル時代の刑事政策の在り方 という、ちょっと今までと毛色が変わったような、また、非常に興味深い内容のものにつ いて、御議論いただくことになります。

 キャッシュレスでの決済とかデータのオンラインのやり取り。オンラインのこうした会 議もそうですけれども、テレワークなど、デジタル技術というのが、日常生活で当たり前 になってきています。

 先月は、ホンダが、レベル3の自動運転車を世界に先駆けて発売するなど、いろいろま すますこのオンラインの技術、デジタルの技術というのがいろいろなところでコアな技術 として使われるようになると思いますけれども、その一方で、サイバー空間の脅威という のがやはり身近になってきている。あるいは自動運転など、そういう脅威が人間の安全、 生命にも直結する。そういうことになる可能性があります。既にSFの世界では、自動運転 車が乗っ取られたりということがよく行われるような状況にもなっている。そういう中で、 我々の社会の安全を保つためには、やはり刑事上の対応が技術の進展と併せて求められて くるのだろうと思います。技術の進歩と安全・安心な社会。そして便利な社会。これらを みんな両立させていくために、やはり、そういう時代の刑事政策の在り方というのをしっ かり議論していくことが大事なのだと思います。

 2020年、電磁的なデータを対象とした犯罪は560件。4年間で1.5倍の増加ということで ございました。

 また、警察庁が運用する様々な不正の検知ネットワークシステムでは、1年間の不正の 件数が4年間で4倍近く増えた、ということです。

 今後、IoT、あらゆる家電がインターネットに接続する。自動車が自動運転になってくる。 工場やら何やらもインターネットで管理される。そういうところが増えていくと、非常に 高度化した技術を持ったハッカーがそういうところに悪さをするということも十分に考え られる。既に起きているのかもしれません。サイバー技術とサイバー犯罪。そして犯罪に 対する対策というのは、これから先、いたちごっこになっていくと思います。そういうサ イバーリスクに技術の観点からではなく、法律面からもしっかり対応をしていかなければ いけないと思います。

 日銀がデジタル通貨の議論をしていますけれども、例えば、通貨の偽造罪は「銀行券」 しか対象にならないのかということを指摘したら、刑事局と日銀とそんな話をしたことが ないのだということもありましたけれども、刑事政策もやはりこれから経済とか産業と関 係ありません、などと言わずに、経済、産業の発展のためにも、刑事法がどうあったらいいのかという議論をしていかなければいけないと思っております。 そういう中で、これから有識者の皆様にデジタル時代の刑事法の在り方、デジタル時代における経済政策と刑事法に関する議論をしっかりお願いしたいと思います。どうぞよろ しくお願いします。

紙と電磁的な記録のバランス

https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/wg/seicho/20210408/gijiroku0408.pdf#page=22

○髙橋(滋)委員 どうもありがとうございました。

 (中略)

 あわせて、例えば、刑法でも紙と電磁的な記録で本当にバランスが取れているのと、そ もそも私は疑問を持っていて、例えば、電磁的記録不正作出の罪、電子的な記録の刑罰に ついては、包括的に規定が置かれています。ところが、紙については有印と無印と分けて いて量刑を分けている。要するに、印鑑というものを明らかに差別して保護しているわけ です。ところが、電磁的な記録のところは例えば、印鑑を持っている本人認証とか意思の いわゆる確認というところを区別しないで、ざっくりと刑罰をかけている。きちんと対応 ができていないわけです。要は、印鑑だけ突出して保護する刑法的な体系になってしまっ ていて、それとパラレルに、印章の偽造についても、電磁についての本人確認と意思確認 のデータを偽造というところで、特に罰しているのかというと罰していないわけです。結 局、パッチワークで対応してきた、デジタルの社会に対応できていない規定になっている のではないかという根本的な疑問があるわけであり、そういう点をきちんとこの際直して ほしいというのが私のお願いです。その辺についてどう思っていらっしゃるのかというこ とをお聞きしたいということです。

不動産IDの説明

https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/wg/seicho/20210408/gijiroku0408.pdf#page=25

○国土交通省(天河審議官) 不動産・建設経済局審議官の天河でございます。どうぞよ ろしくお願いいたします。

 それでは、資料に基づきまして御説明をさしあげます。

 まず、1ページ目でございますが、経緯ということで、昨年7月の規制改革実施計画で 閣議決定をいただいておりまして、書いてあることといたしましては、不動産IDとして不 動産登記簿のIDを活用していこうと。それから、いろいろなデータベースとの連携、不動 産関連データの整備を進めるということで、民間事業者によるデータ連携が進むように、 国交省が主体的に各種取組を進めていきなさいということをいただいております。

 この閣議決定を受けまして、この3月までに事業者様とか業界団体様、こういったとこ ろにヒアリングをさせていただきまして、いろいろデータ連携の在り方について関係府省 庁と意見交換を実施してきております。

 検討の状況でございますが、一番下の箱の中にございますが、2つの角度からやってお りまして、一つは不動産IDの内容・取組対象に係るルールということで、不動産IDとして 何を使うかと。私どもは登記簿の不動産番号がいいのではないかと思っておりますけれど も、まずIDとして何を使うか。それから、取組の対象不動産・対象取引といったところで、 全ての不動産あるいは賃貸を含めた取引等を対象にしていきたいと思っていますが、そう いったことをまずどういうルールにするかということを検討しています。

 それから、IDの利活用・普及に必要なルールということで、これは実際にレインズとか 業界団体、あるいはいろいろなポータルサイトを運営されている事業者、そういった民間 の事業者さんが主になると思いますが、そういったところでどういったルールを決めてこ のIDをしっかり使っていくかということ、この2つの観点からの検討を進めてございます。

 次のページでございますが、IDのルールの整備についてということで、何でそんなこと をやる必要があるのだということでございますが、新型コロナウイルスもありまして、不 動産市場の先行きが不透明ということが一つございます。そういった中で、ますます不動 産流通市場の活性化とか、さらには、不動産流通市場が活性化されれば、当該資産、土地、 建物といったものの有効活用がさらに促進されていくだろうということが考えられます。 それを進めるためには、新たなテクノロジーを積極的に活用していくということで、そう いったことによりまして、官民が要します不動産のいろいろな情報がございますが、そう いったビッグデータの連携を促進していくことで、より市場の透明性の向上とか、不動産 に関わる意思決定の迅速化、あるいは高度化といったものを図っていきたいと思っていま す。

 現状を見ますと、宅建業者さんとかデベロッパーさんにおきましては、いろいろなとこ ろに不動産に関する情報があるのですが、これをある意味人力で集めて名寄せをしている ということで非常に大きな労力になっているということがありますので、こういった不動 産のデジタル化、IDをもってデジタル化が進んでいけば非常に生産性が上がるということ があると思います。その裏返しといたしまして、消費者にとっても必要な情報が非常にタ イムリーにあるいは低コストで得られるということで、消費者にとってもいいのではない のかと思っています。

 そういったことが実現していきますと、今、いろいろ問題になっています所有者不明土 地とか低未利用不動産、こういったものにつきましていろいろなことをやろうとしたとき にいろいろなコストが下がってまいりますので、関連情報へのアクセスの円滑化を図る、 そういったことによってこういった課題も解決することができるのではないかと思ってい ます。

 そして、課題といたしまして、各不動産にひもづく共通コードが存在しない。それから、各主体間をまたいだ不動産情報の名寄せができない。要するに、情報がなかなかデジタル 化されていない、連携していないということですが、これを解決するために不動産IDをし っかり整備していきたいと我々としては思っています。

 想定される主なメリット・ユースケースといたしましては、先ほど申し上げた課題と反 対になりますけれども、不動産市場の透明性が向上すること、あるいは取引が活性化する。 それから、不動産業の生産性の向上や消費者の利便性向上、低未利用不動産の有効活用、 所有者不明土地の探索といったことが考えられます。テクノロジーをしっかり使いまして、 こういったいろいろな重複掲載防止とか、おとり広告排除、これはなかなか細かい話です けれども、こういったことも考えられますし、AI価格査定といった新しい技術みたいなも のも開かれるということが期待されるところでございます。

 次のページでございますが、ルール整備に当たりまして、一つ課題がまずございます。 この下の箱の3つ目ですけれども、区分所有でない共同住宅につきましては、不動産番号 は1つしかないものですから、これに枝番を振っていかないといけないという課題が一つ ございますということが書いてございます。

 次のページに参りまして、今申し上げた課題も含めて、1の課題ということで、共同住 宅のIDの部分をどうするのか、それから、分筆とかその際どうしていくかといった、細か い話ですけれども課題でございます。

 それから、ルール整備ということで、冒頭に申し上げましたけれども、レインズとか業 界団体でいろいろな運営サイトを運営されております。それから、いろいろなデータベー スにおけるルールの在り方を決めていかないと、それがばらばらになるとせっかくIDをつ くっても意味がないものですから、しっかりルールを決めていきたいということが2でご ざいます。

 最後の個人情報に係る課題といたしまして、不動産番号につきましての物件情報につき ましては、個人情報保護法の個人情報に該当すると整理されているということもあります ので、そこをしっかり私どもとしていろいろな民間の取引などを見つつ、あるいは関係省 庁と話をしながらクリアしていきたいと思っています。これにつきましては、現在、ベー ス・レジストリの議論が進んでいますので、こういったものもしっかり見ながら対応して いきたいと考えております。

 以上でございます。

不動産IDへの質問事項

https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/wg/seicho/20210408/gijiroku0408.pdf#page=27

○村上専門委員 村上です。ありがとうございます。4点質問があります。

 1点目が、この不動産IDは国土交通省さんが責任を持って管理運用していくということ でいいのか。その際、法務省との調整状況が今、どうなっているのか、IDにするとなると、不動産登記の義務化とか所有者不明問題が出てきますので、この点について教えてくださ い。これが1点目です。

 2点目が、自治体の固定資産台帳との連携のニーズが高いと思いますが、こちらについ ての検討状況を教えてください。

 3点目、賃貸物件まで広げるということですが、その必要性について、誰にどんなメリ ットがあると考えているのか。

 最後に4点目、3月24日の成長戦略ワーキングで、新経連さんから、国土交通省の不動 産総合データベースの実証が終了して実用化に至っていないという説明がありました。実 用化に至っていない要因と今後の予定を教えてください。

 以上4点です。

○大橋座長 ありがとうございます。

 落合委員、お願いします。

○落合専門委員 私のほうも2点ほどでして、まず第一点は、村上委員もちょっとお話し になったのですけれども、この不動産のIDというのにひもづけて、例えば、宅建業者とか ですと何十種類もの書面を取り寄せてということをやられて、重要事項説明書を作られる と思います。このため、どこまで広くデータをつなぐ基盤にしていくということで構想を 持たれているのかというのが一つです。

 もう一つが、個人情報の論点があると思っておりまして、これは民間の個人情報保護法 については個人情報保護委員会のほうで整理がされているということもありますし、恐ら くそれに寄せて整理がされていくだろうということも先日WGを開催しており、今後考えら れますので、そういった点も踏まえて御検討いただければと思っております。

 以上2点です。

○大橋座長 ありがとうございます。

 高橋代理、お願いします。

○高橋(進)議長代理 農地とか森林も対象になるのか、あるいはそういうことに関して 農水省と何か連携の余地があるのか、その辺を教えていただければと思います。

不動産IDへの質問事項に対する回答

https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/wg/seicho/20210408/gijiroku0408.pdf#page=28

○国土交通省(皆川課長) では私から。国土交通省の不動産市場整備課長の皆川でござ います。よろしくお願いいたします。

 まず、村上委員から質問がありましたIDの件ですけれども、国土交通省としては、この ルールメイキングということで、どのようなものをどういう形で使っていくかということ で、ルールメイキングを中心にすると考えてございます。当然、不動産登記、不動産の番 号を使っていくということになれば、まさに法務省さんとの調整も必要となります。昨年 の閣議決定でも不動産の登記のことを述べられておりますけれども、これを踏まえて、法 務省さんとも既に話は進めております。確かに今おっしゃるように、義務化とかといった広がりを、こういったところが進めば、さらにこのIDの利活用も進んでいくところもある と思いますけれども、その辺りも含めてこれからまた法務省さんとはよく調整、すり合わ せをしていきたいと考えてございます。

 それから、2番目の自治体の課税台帳などとの連携ですけれども、これは農地とか林地、 そういったものの台帳など、いろいろ公的主体で台帳をいろいろ管理しているというのを 聞いておりまして、今、IT室さんのほうでこういった公的機関の情報についてはいろいろ 議論されていると聞いております。この辺りも法務省さんとも話をしながら関係省庁の皆 さんともよく情報共有して活用の広がりを持たせていきたいと考えてございます。

 それから、賃貸に関しては、売買に比べて賃貸物件のほうが非常に取引の頻度が、反復 して何度も同じ物件が取引されるといった傾向にございますので、そういう意味ではIDを つけることによって価格がどのように変化していくか。例えば、リフォームとかそういっ たことを行った場合にはどのように価格が変化していくかとか、いろいろ価格がどう推移 していくかという意味ではニーズがあると考えてございますので、そういった意味で賃貸 も含めた議論ということでございます。

○国土交通省(井﨑課長) 不動産業課長をしています井﨑と申します。 村上委員から4点目で御質問がございました不動産総合データベースの件でございます。

 不動産総合データベースにつきましては、落合委員からもお話がございましたように、不 動産取引をする際に、宅建業者がその不動産に係る様々な情報について調査、情報収集を して重要事項説明等を行うわけでございますが、その負担が非常に大きいということから、 宅建業者が不動産に係る各種の情報を容易に入手できる、さらにその先には消費者に適切 に提供できるようにということで、都市計画に関する情報などの各種の法令制限、また、 道路等のインフラ整備状況やハザードマップ等の整備状況等について、宅建業者に情報を 電磁的方法で提供するというシステムをデータベースでつくろうということで検討を進め てまいりました。平成25年から検討開始をいたしまして、順次検討を進めて、各幾つかの 地域では実証実験等も行ってまいりましたが、そこで分かったことといたしまして、先ほ ど申し上げました都市計画とかインフラの情報、こういったものを、これは自治体が持っ ている情報が非常に多いわけですけれども、これらのインフラや都市計画等の情報につい て、それぞれの自治体がデジタル情報として提供している状況、また、その情報の正確性 等がまちまちだということがございまして、なかなか現時点で宅建業者が重要事項説明と して使うのに十分な正確性、最新性が担保されていないということが判明いたしました。

 したがいまして、現時点で全国システムとして十分に機能するものを構築できる段階に はないということで、課題の整理に現時点ではとどめているところでございます。今後、 このワーキング・グループで御議論いただいておりますベース・レジストリの整備が進み まして、正確性、最新性が確保された各種情報が充実していきますと、私どもが今日御説 明しました不動産ID等のルール整備との連携によりまして、必要とされる不動産情報が効 率よく収集、活用できるような不動産総合データベースの趣旨も実現されていくように取り組んでまいりたいと考えております。

○国土交通省(皆川課長) 続きまして、皆川から。

 今、落合委員からありましたIDとどのように情報をひもづけていくかという話でござい ますけれども、先ほど井﨑からも話がありましたが、最新性が担保された情報としてベー ス・レジストリの議論が今あるというふうに伺っております。IDとしてはある程度情報を 結びつけていくのならば、そういった最新性なりというところとの関連も必要かと思いま すので、ベース・レジストリも今動いているというふうに聞いておりますので、そことの 兼ね合いもあればそれのニーズなども確認しながら検討していきたいと考えてございます。 それから、2番目にありました個人情報の扱いは、まさに私どもも今回、資料に載せて おりますけれども、個人情報の話が大きな課題だと思っておりまして、先日のワーキング の議論の中でもいろいろ行政機関の情報の在り方についても議論を聞いております。その 辺りも踏まえて、私どもの整理も併せてしていきたいと考えてございます。

 それから、高橋委員からありました農地、森林ということですけれども、先ほど少し申 し上げた公的機関のそういう土地台帳なり様々な台帳が連携するという動きもあるようで すので、まず私どもとしては不動産取引として行われていくものを念頭に置いていますけ れども、当然、連携できる部分はあろうかと思いますので、その辺りもまた関係省庁の皆 さんとも検討や話をさせていただきたいと思っています。

 以上でございます。

不動産IDはすべての不動産に振られるのか

https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/wg/seicho/20210408/gijiroku0408.pdf#page=30

○村上専門委員 すみません。

 ルール整備ということは、不動産IDの正確性を担保するのは法務省さんがやるというこ とですか。それと不動産取引とおっしゃいましたけれども、取引されない不動産もID化は 必要なので、その点を最後に教えてください。

○大橋座長 お願いできますか。

○国土交通省(皆川課長) 皆川でございます。 正確性という意味では、まずは登記情報がベースになろうかと思いますので、そこはやはり法務省さんの登記データをベースにやっていくということになると思います。 それから、取引されたものについても、基本的には不動産番号といったものをIDとして 使っていくことということがあるかと思いますけれども、ただ、私どもとしてはやはり取 引の機会に不動産番号というものを付記して、それで相手に渡ると。それがデータとして たまっていくことでまた別の技術なりに活用できるというふうに考えてございますので、 ルールとしては、一旦今の取引されていないものもIDが付与されると思いますけれども、実際に動き出すのはやはり取引の際ということをイメージしております。

○大橋座長 村上委員、よろしいですか。

○村上専門委員 不動産IDは取引されないものにも全部振られるということであればそれ でいいと思います。

○国土交通省(皆川課長) そうですね、全てのものにという意味でございます。

第9回(R3-04-27)

https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/wg/seicho/20210427/agenda.html

概略

https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/wg/seicho/20210427/gijiroku0427.pdf#pgae=1

○河野大臣 おはようございます。お忙しい中ありがとうございます。

 デジタル時代の刑事政策の在り方について、今まであまり政府内でも議論がなされてい なかったようなことを聞いております。経済政策の観点から刑事法が議論されたことがあ まりなかったようでございます。

 しかし、そういうわけにもいきませんので、熱心に御議論をいただいて、今後、経済、 産業そして刑事政策をどのように連携させていったらいいのか、問題提起をしっかりして いただきたいと思っております。

 今日は、本人認証、それから、デジタル通貨を取り上げていただくということでござい ます。

 今まではIDとパスワードで本人認証をやっておりましたけれども、今回のワクチンの接 種でもシステムが乱立して、IDとパスワードがいっぱいあってよく分からないということ になったので、IDとパスワードを共通化して医療機関に使いやすくできないかということ をやりましたけれども、新しいIDとパスワードに代わる認証方法が続々と誕生しておりま す。

 シンガポールに行きますと、日本のマイナポータルに当たるものに入るのは、携帯番号 の登録と本人の顔認証だけで、懐から携帯電話を取り出すや否や、もう日本のマイナポー タルに当たるところに入れる状況になっております。

 しかしその一方で、顔認証などを誤認させるなりすましも開発されているという話がご ざいますので、こうしたものを規制の観点からも対応を検討する必要があるのだろうと思 います。

 また、デジタル通貨の議論が大変に白熱をしております。日銀もデジタル通貨に関する 議論をスタートすることのようでございます。

 既に、カンボジアとかバハマでデジタル通貨をもう導入しているという話があります。 今日は、カンボジアのデジタル通貨を共同開発した事業者からも御説明があると聞いてお りますが、もう既にカンボジアの1600万人が送金や店舗での支払いに利用されていると聞 いております。

 また、これまでミャンマーとかマーシャル諸島、マン島、ラオス、カリブの様々な島々 でもいろいろ動きがあると聞いております。

 日銀のみならず世界の中央銀行の9割近くが、デジタル通貨に関する研究を何らかの形 でやっているということですので、そうなると通貨偽造罪などを含めた刑事法の在り方が 必要になってくると思います。

 それ以外にもいろいろな観点があると思いますので、技術と刑事法の両面からしっかり 御議論をいただく必要があると思いますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 今日はありがとうございます。

近年の個人認証の傾向

https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/wg/seicho/20210427/gijiroku0427.pdf#page=5

○東京大学(山口特任准教授) 東京大学の山口でございます。

 「近年の個人認証の傾向」ということで、私からお話をさせていただきます。 そもそも、個人認証は何だっけと考えてみますと、実は登録した人とインターネットで端末を通じて連絡をしてくる人が同一人物であろうかということを確認する手段を言いま す。

 ですので、当たり前の話ですけれども、登録の時点で本人が違っていた場合は、ずっと 継続がされることになりますし、ここが何らかのはずみで利用のときに違う人にすり替わ ってしまったらそれを見出すための努力をすることになります。

 個人認証の3要素というのは、古くから3要素と呼ばれている手法がございまして、そ れは知識、所持、身体的特徴という要素がありました。IDとかパスワードと言われている 世界とか、マイナンバーカードに代表されるようなICカード、顔認証とか指紋認証で出て くるような身体的特徴を見出したようなバイオメトリクスの認証手法がございますが、最 近は行動を活用した認証が広く利用されるようになってきました。これは後から御説明し ますが、皆さん既に御経験があることかと思います。

 ただ、行動の場合は、人間の行動は全く一貫性を持って同じ行動を取ることはほぼなく て、私たちの言葉では揺らぎと呼んでいますけれども、行動には揺らぎがあるのでその揺 らぎをどう是正するかということで、ある程度、認証のスコアを下げてあげて、その代わ り複数の要素で多要素認証をするのが割と一般的になってきています。

 法律的には、識別符号と書かれていると最近勉強しました。まだ私も勉強不足なので、 今日もし議論があったら教えていただきたいぐらいなのですけれども、一般的に2つに認 証は分かれると整理ができるかと思っています。

 例えば記憶とか所持の絶対的な情報は左側に当たるようなところにありまして、計算量 とか情報量によって表現されていて、ムーアの法則と呼ばれているCPUの進化とスピード というのが大体計算量によって表現されているものがありますけれども、それによって安 全なビット数を決めて、例えばパスワードは10文字以上入れましょうとか記号を入れまし ょうとかいろいろありますけれども、その長さもムーアの法則に沿って出てきた計算量で 表現されています。

 また、ICカード、マイナンバーカードもそうですしクレジットカードとか一番身近で使 われていると思いますけれども、そこに内蔵されている暗号の種類であるとか、チップの 安全性もこういった絶対的な指標よって表現をされています。

 ただ、計算量で評価をされる場合は人間のパスワードの漏えいとか、人のミスみたいな ことがセキュリティーのモデルの外として整理をして安定性を評価しています。数学的に 表現できないことを外に出すことで100%安全ですというものをつくっています。

 一方、最近はやってきている生体認証とか行動の情報というのは実験的とか、統計的に 他者と区別がついたことによって評価されます。

 典型例が生体認証、指紋認証は指紋がほかの人と絶対に一致しませんと皆様思い込んで いると思いますけれども、それは誰かが示してくれたわけではなくて、実験的、経験的に 一致する人がたまたまいなかったから、生体情報は一人一つしか持っていないのですとい うことを示しています。

 ですからもしかして、バースデーパラドックスとか言われますけれども、たまたま全く 同じような指紋を持つ人が世の中にいるのかもしれない。けれども、世界中の人の全部の 指紋をつくったデータベースは存在しないので、多分大丈夫でしょうということでやって います。

 行動データは、最近IPアドレスとか位置情報とかそういったもので区別する情報でやっ てきていまして、それを多要素でやることが多いですけれども、これも経験的に安全性を 表現しています。

 ですので、逆に言うと生体情報も行動データも100%になることはありません。

 行動データを活用したと昨今言われていますけれども、例えばこんなメールを皆様お受 け取りになったことはありませんか。このアクティビティに心当たりがありますかとかと いうメールが来たり最近はいろいろなサービスでやるようになってきました。

 これはリスクベース認証と、とある会社が名づけていましてそう言われることが増えて きています。端末のOSの種類であるとか、例えば機種変したときのスマホの情報、ブラウ ザのIPなどからも位置情報の情報からふだんのアクセスと違うかで判断しています。最近 は減ってきましたけれども、海外出張に行くとあなたは本物ですかと聞かれることが多い ですよね。そういったことになります。

 あと最近は、周辺のWi-Fiの情報とかBluetoothの情報を活用してやるような認証も出て きていますし、研究としても最近はセキュリティーのトップカンファレンスでも行動デー タを活用した認証の研究が盛んに行われるようになってきました。実用化が先だったかな という印象でもあります。

 今日は、この中でも私たちがやっている実験の具体的な例をお見せします。 先ほど申しました行動の電波の情報を活用した事例についてお話させていただきます。 では、再生させていただきます。

(動画再生開始)

○東京大学(山口特任准教授) これは、行動認証によって本人が認証されていた場合は、本人が近づくとドアが自動的に開いて物を買えるという一つのデモンストレーションです。 このように周りの電波情報を利用して、本人が本人と確認されたときのみ物を買って、 これは実験的にお見せしていますけれども、実は一つ一つの商品にICチップが乗っていま してそのチップによって決済をして、実際のクレジットカードで決済をするようなデモン ストレーションもしておりまして、これは本当に普通にクレジットカードで決済をしてお金を引き落とすところまでつくり込んでいます。 ここは今、マルと出しているのでドアが開きましたけれども、本人と認められないような行動パターンを取った場合は、今日はデモンストレーション的に簡単な一番短いものを お見せしているのですけれども、バツと上に出てきてパスワードを入力してくださいと出 るようになっていて、そこが多要素認証なのですけれども、パスワードでもログインして 本人が買物できたりすることがあります。

(動画再生終了)

○東京大学(山口特任准教授) リスクのことを考えてしまうと、いろいろ切りがないの で、あんまりくどくど言っても仕方がないという気分になったりするのですけれども、もちろん登録の時点とか生体認証の登録が不完全な場合はリスクが生じることもありますし、 IDとパスワードの問題だけ言いますと、やはりユーザーはたくさんのパスワードは覚えら れないからほかのところでも同じパスワードを使っていてそこが漏えいしてみたいな、パ スワードリスト攻撃と呼ばれている攻撃、偽造の生体情報がつくられたり、単純に言うと カードを落としてしまったときにほかの人がカードをつくったりとかカードのコピーがあ ったり、いろいろな問題が起きてきます。

 安全性評価の場合は、リスクをうちに含めるか外とするかによって表現をしているわけ ですけれども、経験的に言うと絶対100%にはならないので、どの辺りで妥協するかという 議論になります。

 個人認証の問題は決して新しい問題ではなくて、私が学生のときの20年以上前からIDと パスワードは問題だといろいろな人が言っていますけれども、利用は全く減っていません。 ICカードなどはセキュリティー上安全だと言われていますけれども、利便性の観点から利 用が進んでいない現状もあります。

 一方で、例えばクレジットカードの事例を皆様思い出してみてください。クレジットカ ードはお店で決済をするとき、例えばコンビニでやるときはPINを聞かれないですけれど も、大きなレストランに行くとPINを聞かれたりとかサインになったりということを表現 しています。

 これは、そこの店舗で買物をされる平均の金額というものが計算されていて、安全性を お金で表現をしていて、便利なほうを取っているのですね。例えば限度額が高いゴールド カードというのはチップが高額なのです。有効期限も3年ぐらいで短くなっていてころこ ろカードが来るようにできています。

 一方で、デパートで使うようなデパートカードというのは限度額が10万円だったりする ような安いカードがありますけれども、その場合は、有効期限は実は10年ぐらいになって いるのです。

 ここら辺が費用対効果の観点から、どういった辺りで安全性を重視するか。ゴールドカ ードとかプラチナカードとかクレジットカードの高いカードは、一度の買物で車が買えた りするほど高い物が買えたりしますので、その辺りがどの辺りに攻めてくるかというのが クレジットカードはすごくよくできていて、こういった考え方をふだんの事例にどういう ふうに進めていくかというのが難しいところかと思います。

 経験的なリスク評価をする時代になったのかとも思っていまして、現実的な手法を取る ことがどんどん増えていくかと思っています。

 一方で、行政のIDとパスワードの問題は、無謬性と言われている行政はミスしてはなら ないみたいな昔から言われている流れと、現実的にクレジットカードのようにお金で払ってしまえばいいという解と、どの辺りでプラスにするかマイナスにするかみたいなところ を取っていくのかがとても難しいなと最近は感じています。

 私からは以上でございます。

ブロックチェーン技術の最前線

https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/wg/seicho/20210427/gijiroku0427.pdf#page=9

○ソラミツ株式会社(宮沢代表取締役社長) ソラミツ株式会社代表の宮沢でございます。

 それでは、御説明いたします。

 最初に簡単に自己紹介ですが、私は東京工業大学の特任教授、それから、ISOのブロック チェーン国際標準化の日本代表委員、日本銀行の委員、内閣官房の委員等を務めておりま す。

 経歴としましては、交通カードのSuicaの開発、それから、電子マネーEdyの創業、金融 庁の金融審議会の委員も務めまして、資金決済法の第一次の立法もお手伝いをさせていた だきました。

 その後、カンボジア中央銀行のデジタル通貨の開発の総責任者として、デジタル通貨の 開発をしてまいりました。最近、世界初の中銀デジタル通貨バコンという本を出版いたし ました。

 私どもの会社が開発しましたブロックチェーン技術でございますけれども、実は我々の 開発した成果物は全てThe Linux Foundationという組織に無償で譲渡をしまして、世界の 資産として世界中のエンジニアが皆さんで開発をするというオープンソースになっており ます。全世界260社の中から3社が選ばれまして、IBM、インテル、ソラミツの3社を世界 標準として育てていこうということで進めております。

 様々な監査・安定性・耐久性をテストしまして、世界中の政府、自治体、金融機関が安 心して使えるようなものになっております。

 また、オープンソースですので、我々の企業がたとえ消滅しても、技術は存続するとい う継続性がございます。

 その結果、様々な世界中の企業、政府から採用されておりまして、カンボジアの国立銀 行、モスクワの証券取引所、インドネシアの銀行、スイス等で採用されております。国内 におきましても、会津若松等でブロックチェーンを使ったデジタル地域通貨、日本初の正 式運用をしておりますし、保険会社、証券会社等、またインターオペラビリティというこ とで世界中のブロックチェーンをつないでいくプロジェクトのPolkadotというところの役 員をやっております。

 非常に高速大量処理ができて、1秒から2秒で決済が終わったり、1秒間に5,000件程度の処理ができる、また電力を使わないということで地球資源にも優しい。このようなブロ ックチェーンでございます。

 昨年の10月28日にカンボジアの中央銀行で、世界初の中央銀行デジタル通貨正式運用に 成功しました。現在、1600万人の国民が使用を始めておりまして、実はほとんどの国民が 銀行口座を持っておりませんので電話番号で送金したりQRコードで支払ったりしておりま す。

 この仕組みなのですけれども、実は非常に強固な本人認証をしておりまして、なりすま しを完全に防ぐ。ID、パスワード等は一切使っておりません。二要素認証というPKIの秘密 鍵と指紋等の二要素認証で行っております。

 なぜ中銀デジタル通貨をカンボジアが早く導入したかという背景なのですが、現在、日 本のように既に5年以上前にキャッシュレス決済手段が乱立しまして、相互運用性がない、 決済手数料が高い、それから、加盟店の資金繰りが悪化する、決済事業者の倒産・不正な どのリスクがあるという問題が起きました。

 そこで、カンボジア政府は2つの案をつくりまして、1つは既存の銀行ネットワークに キャッシュレス利用者をつなげるという案ですが、これにつきましてはコンプライアンス・ システム対応コストが非常に決済事業者にとって重荷になるということで反対がありまし た。

 B案につきましては、中銀デジタル通貨を整備しまして、そこに銀行やキャッシュレス 決済手段が使用する方式でございます。この場合には、コンプライアンス・システム対応 コストは低くて済む。当然、リスクも起きないということでございます。

 実はカンボジアの官僚の方々を非常に私も感心したのですが、シリコンバレー等に留学 をしておりまして、技術に非常に明るい。世界中の技術の勉強をし、5年前ですけれども ブロックチェーンの技術が最も適正ということでB案を選択しております。

 今までのキャッシュレスとの違いですが、特に日本のキャッシュレスの仕組みとクレジ ットカードの仕組みは、店舗に対して支払い指図をする場合、実際にお金の価値が店舗に 行っているわけではなくて、その電文を集めて1か月に1回、銀行口座に振り込む形にな っております。いわゆる支払いがファイナリティがない。後から、銀行口座にお金が流れ 込むというふうに、2つの金流と実際の商流が完全に分断している仕組みでございます。 そのため、店舗の資金繰りが苦しくなる。それから、非常に複雑でございまして、複数の 銀行を経由するために高コスト。

 それに対しまして新しい流れ、世界的に今回のカンボジア、それから、中国のデジタル 人民元、あるいはフェイスブックのリブラ等は、デジタルデータそのものにお金の価値が ございまして、これが利用者から店舗に移る。現金と同じように、その時点で中央銀行フ ァイナリティがあるということで、決済に基本的に銀行が介在しないやり方でございます。

 そのため、受け取った店舗はすぐに利用ができる。資金繰りが改善され、大幅に簡素化 されまして、決済コストが10分の1から20分の1ぐらいに下がっております。

 また、台帳の持ち方で比較しますと、現在の決済システムは中央銀行を中心としたピラ ミッドになっておりまして、複数の台帳をそれぞれ銀行、決済事業者が持っている。これ は、つじつまを合わせながらクリアリングしていくということで、非常に複雑な仕組みに なっておりますが、新しい考え方は基本的に国で1つの台帳を持っている。ブロックチェ ーンで複数に分散されておりますが、1つの台帳に対して中央銀行、銀行、決済事業者あ るいは利用者がアクセスをするやり方でございます。したがって、非常にシンプルでクリ アリングが不要になり、コストが大幅に下がる。中国のデジタル人民元もこれと同じ考え でございます。

 キャッシュレスとデジタル通貨と比較しますと、今までのキャッシュレスは主にお店で の支払いというB2C、あるいは今、厚労省で審議をされております給与のデジタル支払いが 解禁になりますと、デジタルの支払いができるようになりますけれども、企業間のデジタ ル決済等には対応ができないということになります。

 それに対しまして、デジタル通貨はB2C、B2E、B2Bといった幅広い現金の市場を全てクリ アできるものでございます。

 また、転々流通で地域内の経済循環によって、30倍から40倍の経済効果がある。あるい は、そのお金自体にプログラムを書くことによって、減価するマネーによる経済活性化等 ができるというものでございます。

 特に法人決済にこのデジタル通貨を使いますと金流と商流が一体化し、例えば入金の消 しこみがいらないなどの非常に業務の効率化が図れるということが言われております。

 もう一つ、本人認証のところでございますけれども、内閣官房のIT総合戦略室で官民推 進会合が過去6回開かれておりまして、その中でマイナンバーとひもづけをする分散型ID の議論がされております。

 これはスマートフォンにデジタルIDを入れまして、それを健康、交通、購買様々なもの に使っていこう。あるいは、法人IDという形で企業を結びつけていこうということで、ID の共通化という議論がされております。

 この分散型IDですが、いわゆるマイナンバーカードとの位置づけは、マイナンバーカー ドは一種の実印であろう。それに対しまして、分散型IDはスマホに格納しまして認印・銀 行印的に様々な用途に使う。このような扱い方を想定しております。

 分散型IDは中立的で特定の企業に依存しないW3Cの世界標準技術でございまして、地域 ごとに分散して発行しても重複はしない。中央認証局が不要である。一応、登録すれば自 分の個人情報は自分の意志で企業に提供ができるワンスオンリーを実現しております。

 私の説明は以上でございます。ありがとうございました。

データを犯罪捜査の証拠として収集することを巡る混乱

https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/wg/seicho/20210427/gijiroku0427.pdf#page=12

○国士舘大学(吉開教授) よろしくお願いいたします。国士舘大学の吉開と申します。

 最初に私のバックグラウンドを簡単に御説明させていただきますと、平成9年に検事に なりまして、17年間検事をやっておりました。うち10年ぐらいは捜査に関わっておりまし て、東京地検と大阪地検の特捜部に通算して7年間ぐらい在席しておりますので、それな りに捜査のことは分かっているつもりではあるのですが、ただ平成26年に現職に転職しま して、それからは現場を離れておりますのでそういった限界があることは御理解いただけ ればと思っております。

 本日、お話しさせていただきたいと思っているのは、私が考えているところでございま すが、電磁的記録、データを犯罪捜査の証拠として収集することを巡る混乱についてのお 話でございます。

 まず最初に、犯罪捜査における客観証拠の重要性ということで、客観証拠というのは例 えば殺人事件の凶器でありますとか、あるいは粉飾決算の事件であれば契約書とか会計帳 簿などということになりますけれども、そういったいわゆる物証と言われるものが非常に 重要である。

 その理由として、「供述証拠は不安定」と書きましたが、いわゆる証人の証言とか、被 疑者、被告人の自白が供述証拠になるわけですけれども、人の話というのは見間違いや聞 き間違い、記憶違い、あるいはうそが入りますので、非常に不安定で確実な証拠ではない ところがある。ですので、犯罪捜査の現場では人に聞くよりものを見よと言われたりしま すが、客観証拠をまずは見ましょうと。

 ただ、客観証拠だけで捜査ができるかというとそうでもありませんので、当然、取調べ をして話を聞かなければいけないのですが、捜査機関に十分な客観証拠の収集手段を与え ることは、昨今海外からも若干批判がございますけれども、取調べというものに対してい ろいろ厳しい見方もございますので、こういった証言とか自白を取るための取調べの比重 を相対的に減らすことができる。完全になくすことは無理だと思いますが、客観証拠の収 集手段を与えることはそういった取調べの比重を減らすことにもつながることがあると思 います。

 そうなってきますと、客観証拠を集めなければいけないわけですが、現在の法律で客観 証拠を集める中心的な手段は捜索差押えになっておりまして、ある場所に行って証拠物な どがあるかどうか探すのが捜索であり、見つけると差押えということで取り上げて証拠に することになるわけなのですが、これはいわゆる強制処分ということで裁判官が発した令 状に基づいて実行するのが原則になっております。

 捜査は本来任意です。相手方の同意とか承諾を得て、協力を得てやるのが原則なのです けれども、御案内のとおり犯罪をする人たちの中には必ずしも協力的ではない人が多いのも事実でございますので、強制手段というものがないと真相解明は難しくなってくるとこ ろがございます。

 こういった捜査機関の権限強化の話をしますと、弁護人とのバランスで被疑者、被告人 の人権保障との関係で問題はないのかという御指摘もあろうかと思うのですが、現在は平 成16年に法律が改正になりまして、証拠開示制度が整備されております。ですので、それ 以降はいわゆる客観証拠であれば、今言ったような物証であれば弁護人も捜査機関が集め た証拠を見ることができるようになっております。

 それからしますと、最終的に弁護人のほうでそういった証拠を見てチェックができる点 からしても、客観証拠をより広く集められるようにする権限を捜査機関に付与することは、 真相解明にとっても重要なのではないかと私的には考えております。

 (2)に参りまして、「デジタル時代の影響」なのですが、今日のお話でお分かりのと おり客観証拠はもう物証ではなくてデータになってきている。もう契約書とか帳簿なども ほとんどデジタル化している状況で、こういったデータになってまいりますとパソコンの 中に入っておりますので、パソコンを開いて中を確認しないと確認ができない。昔の紙媒 体であればすぐわかったわけですけれども、今は紙媒体ではなくなっている問題がありま す。

 また、データは御案内のとおり改変消去が大変容易で、すぐにディレートできます。さ らに、非常に大量に存在している。消さない場合も多いので、紙の場合は整理したりもす るかもしれませんが、データは非常にコンパクトに収納ができますので、あまり消されず に残っているということで非常に大量にあるといった特徴がございます。これは、犯罪捜 査にとっては非常に困難な問題を引き起こしていると言えます。

 さらにもう一つの問題が記録媒体、これはデータの保存先と私のほうで説明をつけまし たが、このデータを保存する先がかつてはパソコン本体のハードディスクに大体皆さん保 存されていた、あるいはフロッピーディスクとかUSBメモリなどというものに保存されて いたと思いますが、現在はクラウド化している。

 このクラウドというものが引き起こした問題としましては、日本国憲法は、先ほど申し 上げた捜索差押えのための令状には場所を明示しなければいけないということを要求して おります。例えば私の研究室に捜索差押えに入るのであれば、私の研究室と特定しなけれ ばいけない。その令状を使ってほかの先生の研究室に入ってはいけないことになります。

 ところがクラウドは、御案内のとおり私の研究室にはございませんので、クラウドのサ ーバはほかの場所にございます。そういったほかの場所にあるデータを、私の研究室とい う場所を明示した令状で差押えていいのかという問題が出てきた。

 こういったデジタル時代の影響を踏まえて最近、混乱しているのではないかと考えると ころが、AとBとCという3パターンに分けて御説明申し上げますと、かつてのようなパ ソコン本体、例えばCドライブに保存されたデータということであれば、これは今までど おりの捜索差押えの令状で対応ができます。

 ところが、クラウドの発達に伴いまして、データが場所の外にあるサーバに保存されて いる場合で、サーバが国内にあるということであれば平成23年に法改正が実施されまして リモートアクセスという方法が導入されました。

 このリモートアクセスは、例えば私の研究室に対する捜索差押え令状があれば、そこの パソコンを使ってそのクラウドのサーバに保存されたデータを捜索差押えしてよいという 制度になります。

 これでクラウドができたことによる問題点はかなり解消されたと思われたのですが、た だリモートアクセスできるのは差押え前に限ると。要するに、私の研究室のパソコンから クラウドのサーバにリモートアクセスをして、データを私のパソコンにダウンロードする。 そのダウンロードしたデータを差し押さえてくださいという仕組みになっているのですが、 差し押さえる前にリモートアクセスしなければいけないということが法文上もそうなって おりますし、裁判所の裁判例でもそのように示されております。

 その結果、問題として出てくるのが、例えば捜索差押えの現場で、私のパソコンにIDと パスワードがかかっている。それはロックを外さなければ見られないわけなのですが、例 えばそれを私が捜査機関に対して拒否すると、捜査機関はどうしようもなくなってしまう。 中が見られないということになってしまいます。

 例えばID、パスワードのロックを外す方法というのは、捜査機関から専門機関に依頼す れば可能かと思いますけれども、では一旦そこで差し押さえてしまって、例えば警察でロ ックを解除して、それから、リモートアクセスしましょうというのは違法になってしまう という問題がございます。

 また実際問題、捜索の現場でいろいろなものを差押えするわけなのですが、実際に時間 がたくさんあるわけではなくて、かなり短い時間に証拠になる物を確認して捜索差押えは 終了しないと、何日もかかってしまうことも場合によってはございます。ですので、その 場で確認できる限りで確認して差押えをしてきて、パソコン本体のデータを確認していた ら、どうもこれはクラウドにデータがあるようだ。では、そのクラウドのデータについて も確認しないと捜査が十分できませんというときに、差押え後にリモートアクセスするこ とができるかという論点も生じています。

 これについては、いろいろな考え方がございますが、まだ確定した判例などは出ていな いところで、この辺でも若干問題が出ていると言えるかと思います。

 さらに問題がCの場合で、クラウド上のデータでサーバが国外にある場合に、主権侵害 の問題がある。国外の捜査は、基本的にそれぞれの国の主権がございますので、国際捜査 共助によらなければいけないので、それによらずリモートアクセスをするのは違法だとい う裁判例が出ました。

 この裁判例についてはいろいろ意見もあるところですが、最近、最高裁で判断が出まし て、サイバー犯罪に関する条約の32条に基づき、データが同条約の締約国に所在し、正当 な権限を有する者の合法的かつ任意の同意があればリモートアクセス可能だという解釈が出されております。 ただ、これは合法的かつ任意の同意ですので、正当な権限を有する者が同意しなかった場合には国外サーバにアクセスできないことになってしまいますし、もう一つ指摘されて いるのが、サーバの所在国が必ずしも確認できる場合ばかりではない。そうすると、そも そも国際捜査共助によりなさいと言われても、どこの国に共助をかければいいのかという 問題も出てきていると聞いております。

 若干のコメントということで、エンフォースメントの実効性を維持するには、手段の検 討も非常に重要ではないかと現場にいた人間としては考えます。

 意見書などを拝見しますと、やや規制をする法律をつくる方向の議論に寄っているよう な印象を受けますが、やはりそこは実際に実現する手段を考えていく必要があるのではな いかというところと、現状論を踏まえてあるべき論を議論されたほうがいいのではないか と思います。

 とりわけ、私は現場におりましたので、結局、法律をつくってもそれを使うユーザーに なるのは現場の人間でございますから、現場の声というものもできる限り組み上げていた だきたいということ。

 あとは現実問題として、日本では刑事罰は最終的手段という認識が強い。また、取引と か偽計といった手段は、私もより日本でも入れていくべきだとは考えておりますが、国民 全体に非常に嫌悪感が強い。捜査機関は清く正しくなければいけなくて、そういった取引 とか偽計を使うことはいけないことなのだという認識がなかなか変わってこない。少しず つ変えていかなければいけないと思いますが、そういったところも踏まえて議論をしてい かないと、いきなりあるべき論でぽんといっても、ついてこないのではないかという印象 がございます。

 あとは、今回ご紹介したサイバー犯罪条約は、国際的な解決方法として条約の見直しと いうか、追加議定書の作成について話が進んでいるとも聞いておりますが、そういったも ののみならず、国内的な解決方法として、立法や解釈、できる限り現行法の解釈で対応で きる方法を考えることと、それがどうしても駄目な場合に立法での対応を考えるところを 模索していく必要があるのではなかろうか。

 刑事法の業界は、とにかく刑罰は最終的手段ということで、先手を打つのがなかなか難 しくて、どうしても後手に回りがちであるところは現状論として御理解いただいたほうが よろしいのではないかと思っております。

 私のほうからは、以上でございます。

胡散臭さと言うか微妙なニュアンス

https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/wg/seicho/20210427/gijiroku0427.pdf#page=21

○東京大学(山口特任准教授) はい。

 御質問の、実際の実印サービスと今のマイナンバーカードのサービスがどのくらいセキ ュリティー上、違いがあるかという御質問と取りました。そういった研究は現実としては ないというよりは、とても難しいのだと思います。それは、対面のやり取りでのセキュリ ティー評価ということの言葉での表現がとても難しいからだと思います。

 人間の場合は、直感的にこの人はちょっとうさんくさいみたいなことを感じる能力があって、それを電子的になった途端に微妙なニュアンスというものが急にできなくなってし まうと思っていまして、そこの表現をどうやって示していくかということが現状はできて いないので、なるべく先ほど申しました登録とか認証のときに一致するような努力を表現 としてしながらも、現実としてできていないのかと思います。

 ただ一方で、感覚的な、今度は利便性とセキュリティーの話だけ申しますと、実印の話 の利用する頻度とセキュリティーのバランスから考えると、今のマイナンバーカードのや り取りみたいなものは少しセキュリティー上は重過ぎるのかなと思います。実印はもっと 手軽に、登録にしても何にしても使っていらっしゃいますよね。バランスが今はどっちに しても悪いので、どうしたらいいのかというのは研究としては何もなくて、感覚的なお答 えになってしまって恐縮です。