デジタルガバメントワーキング・グループ

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第1回(R2-10-12)

https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/wg/digital/20201012/agenda.html

3つの柱

https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/wg/digital/20201012/gijiroku1012.pdf#page=3

髙橋座長 どうもありがとうございました。
(略)
 第1の柱は、そこにございますが、書面・押印・対面の抜本的な見直しでございます。 これにつきましては、先ほど藤井副大臣からも御言及がございました。河野大臣のリーダ ーシップにより、押印の原則廃止に向けた取組が目に見えて早まりました。誠に心強い限 りでございます。この成果を踏まえまして、書面に書いてありますように進めてまいりたいと思います。例えば、システム整備の費用対効果を懸念する声が各府省から寄せられて います。この点については、電子メールの活用など、簡便な形でオンラインが可能な手続 が多数あると考えています。また、システム構築の際には、立案、調査、システムの設計、 システム実装と、来年の3月から3年もかけて費やしてしまうのでは、これは国民の求め に応えることはできないと思っています。そういう意味では、各府省に対しましては、可 及的速やかなシステムの構築を追求するように迫っていくことも大事であると考えています。
 2つ目として、主要な手続のオンライン利用率を引き上げていきたいと思っています。 国民に実際に利用されるオンライン手続の構築が重要でございますが、件数の多い手続で あってもオンライン利用率が上がっていないものがございます。そこには、手続の簡素化 が不徹底であること、行き過ぎた本人確認がされていること、使い勝手の悪いシステムで あることなど、原因が必ずあると考えています。そこで、各府省に対して、数値目標を設 定し、課題を明らかにした上で、真に利用率を向上させるという取組を行うよう促してま いりたいと思います。
 2ページ目にまいりますが、最後の柱が、地方公共団体のデジタル化、オンライン化で ございます。自治体ごとに書式などがばらばらであることが事業者の負担となっておりま す。国が主導して、共通プラットフォームを整備し、デジタル化を前提に手続の標準化を 進めるように、具体的に書いてあるような作業を進めてまいりたいと思います。
 この資料1に基づきまして、御意見、御質問等があれば、御発言を頂戴したいと思います。いかがでしょうか。
 岩下代理、お願いいたします。

本人確認

https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/wg/digital/20201012/gijiroku1012.pdf#page=4

岩下座長代理 お時間いただき、どうもありがとうございます。
 簡潔に、今回の3つの方針について、いずれも強く賛成するものであります。
 とりわけ、1番の書面・押印・対面の見直しについては、副大臣からも御発言がありま したとおり、それ自体が目的というよりは、それによる様々な国民生活の向上、行政の効 率化あるいは産業や業界の効率化に伴って国民生活が向上するということに資することが 期待できますので、これを強力に推進していくことが非常に大事だと思いますし、その場合は、ただ今座長からもお話のありましたとおり、行き過ぎた本人確認というか、別に本 人認証をきちんとやること自体は決して悪いことではないわけですが、むしろ、これまで、 例えば、婚姻届や離婚届のように、本人がちゃんと同意しているかどうかもよく分からな いままに受理していたような書面手続はいっぱいあったわけで、そういうところからもう ちょっとちゃんと本人を確認した方がいいのではないかという議論は、もしかしたら、む しろこれから持ち上がってくるのかもしれませんが、一般論として言うと、今、世の中で 電子メールを送るときに一々電子署名つきのメールを送ってはいなくて、それでも事務が 進んでいるのと同じような水準で、申請手続も進んでいくということが当然に期待できる ことでもありますし、そういうふうに変わっていけばいいと思います。
 私は、2点目について賛成でありまして、賛成なのですが、1点だけちょっと注意を要 するのは、プラットフォームを国が統一的に整備という部分について、具体的にどこまで を、当グループ、あるいは、もっと言うと、このデジタルガバメントのスコープとして考 えるのかというところについては、自治体によって様々な希望があると思います。例えば、 全部国にお任せしたいという中小自治体もあるでしょうし、これまでやってきたことをベ ースに何がしかの標準化だけにとどめたいという方もいるでしょうし、そういう部分につ いてのメッセージ性をどのように打ち出していくかについては、今後、若干アクセントの 置き方に注意が必要かなと思います。そこについては、ある程度可変的なものであるとい うことを前提にお話しすることが、この部分については、ちょっと慎重な取扱いですけれども、必要かもしれません。
 私からは、以上です。

士業がオンライン利用率を上げること

https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/wg/digital/20201012/gijiroku1012.pdf#page=12

岩下座長代理 (略)
 ただ、私がちょっとだけ気になるのは、果たして全ての取引がオンライン化率100%をどういうタイミングで求めるべきものなのだろうかと。例えば、今すぐ100%に上げるのが望ましいものなのか、これはできるだけ早く100%に上げた方がいい、これはそうでもないか なというものが、政府全体の目的としては多分いろいろあって、片や、各府省庁的には上げやすいみたいなものがあって、例えば、士業に任せるものなどは上げやすいのですよ。 だから、士業にお願いしますということでやると、士業は一生懸命オンライン化をしますから、それの結果、オンライン率が上がったとしても、もしかしたらそれは国民からする とそんなにうれしくないものなのかもしれないという感じがします。その意味では、最終的にこれで進めることはいいとして、デジタルガバメントのあるべき姿として、最終的に どうなっているのがいいのかという我々自身のPDCAというべきものでしょうか、それを考える必要があるかなという感じがします。
(略)

第2回(R2-10-28)

https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/wg/digital/20201028/agenda.html

GISとUI/UXとLGWAN

https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/wg/digital/20201028/gijiroku1028.pdf#page=8

岩下座長代理 ありがとうございます。
 岩下から、3点、簡潔に質問させていただきます。
 最初に、先ほど信夫審議官からベースレジストリという言葉が出てまいりました。これは非常に大事な概念だと思います。各自治体ベースでGISの構築をやってから、かれこれ十数年になると思いますが、それらが有効に活用されているという話を寡聞にして聞きませんので、農地のみならず、様々な部分においてこのGISの情報をもっと活用していくべきだ と思いますし、そのためには、先ほども御説明があったとおり、何度も情報を取るのではなくて、きちんとした政府の所管するベースレジストリとして整備していくべきだと思いますが、そうはいっても当面はないので、その間はどうされますかというのが質問の第1点です。その間、先ほどの50センチの資料のかなりの部分は土地利用関係で、地図とかの図面が入っていそうな感じがするのですけれども、GISがあるからそれを変えますと当面は言えないはずなので、そうすると、50センチが40センチぐらいになるのかなという感じもしてしまうのですけれども、そうではなくて50センチを本当に0センチにするためにはどうすればいいのかということと、逆に、当面こういう方法によってまだベースレジストリがない状態でどうするかということについてお教えいただきたい。
 もう一つは、UI/UXの改善がお話にありました。私は、農業関係のIT化については随分昔 から取り組んでいるのですけれども、そういうものに積極的な農家の長男坊が自宅でパソ コンをやっていたところ、農協の協会長であったおやじさんから怒られてパソコンを田ん ぼに投げ捨てられたという逸話を聞いたことがあります。それぐらいIT大嫌いな人たちだ と。この話自体は10年ほど前の実話でございますので、それは決してオーバーなことを言 っているわけではないのですが、その状態でスマホのUI/UXを改善したことによってエン ドユーザーがそれについてきてくれるだろうかというのは、率直に不安であります。これ についての方針、見通しについて、お教えいただきたい。
 3点目は、先ほどLGWANをお使いになるという話で、これは確かに自治体の気持ちは分か るのですけれども、インターネットを使っていかなければいけないというのもよく分かり ます。信夫審議官は、サイバーセキュリティーの御担当だというお話ですので、一方で、 当然インターネットを使うとなればサイバーセキュリティーの問題について相当深刻な対 応を取らなければいけない。方々、エンドユーザーのリテラシーが低い。そういう中で、 どうやってインターネットを使った上でのサイバーセキュリティーを確保していくのかと いう点についての方策をお聞かせいただきたい。
 以上、3点でございます。どうぞよろしくお願いします。

交通規制情報の提供

https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/wg/digital/20201028/gijiroku1028.pdf#page=22

中林専門委員 これは、前段の農水省のベースレジストリにもつながる話で、グーグルマップにも関連すると思うのですけれども、交通規制の情報は、受付だけではなくて、それを実際にカーナビとかに提供したり、そういったところにも応用できると思いますので、 オンライン化されるに当たってデータの持ち方とかため方を是非御検討いただきたいとい うのと、やはり国としてベースレジストリみたいな地図の情報や道路情報も含めてベースのものを持った上で、各府省庁がそれを利用できるというところも多分改めて考えなけれ ばいけないかなと思いますので、繰り返しになりますけれども、そういったところを、警察庁の方と、国として、規制改革推進会議を通じていろいろな共通化という働きは改めて 重要だと思いますので、意見として述べさせていただきます。
 以上です。

第3回(R2.11.17)

https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/wg/digital/20201117/agenda.html

電子契約と立会人型電子署名サービス利用のために法改正は必要なのか

https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/wg/digital/20201117/gijiroku1117.pdf#page=3

○河野大臣 (略)
テレワークの推進、あるいは行政における押印の見直しを進めてきておりますが、この契約事務を効率よく実施するためのツールとして、次は電子契約をしっかりやっていかないといけないと思います。今度の押印の見直しでも、例えば印鑑証明や登録印は残すこと になりましたが、電子契約をやはりしっかりとやっていくというのがこの次の段階なのだろうと思います。
 令和元年度、電子入札が可能な案件、3万1000件あったそうですが、そのうち319件が実際に国の調達における電子契約。割合で1%ちょっとと極めて低い水準になっております。 近年、利便性の高さから立会人型あるいはクラウド型と呼ばれる電子署名サービスを利用した電子契約が民間で広がっております。この電子署名サービスは国、自治体でも当然使いたいということなのだと思いますが、この契約手続に関する電子署名法や地方自治法の規定がこの立会人型の電子署名サービスに対応しているかどうかが曖昧で利用に踏み切れないというふうに言われております。
 これは、菅内閣として一生懸命規制改革をやろうという中で極めて大きな障害になっていると言わざるを得ませんので、これを管轄する総務省その他が、きちんと明確にするか、あるいは次の通常国会で明確にするための法改正をするか、いずれかをやっていただかな ければなりません。
 今回、法改正が必要なのかどうかを明確にしていただいて、利用がちゃんと進むように 御判断をいただきたいと思います。生産性の高い社会になるようにスピード感を持ってや っていかなければいけないと思いますので、この曖昧さを改革できないなら、次の通常国 会できちんとやる準備を今日からでも始めてもらわないといけないと思います。どうぞよろしくお願いします。

地方自治体ではクラウド型電子署名を使えない

https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/wg/digital/20201117/gijiroku1117.pdf#page=6

○東京都(宮坂副知事) (略)  そういった中で地方自治体、国は今、強力にクラウドバイデフォルト宣言で進めていますけれども、正直、私の解釈不足かもしれませんけれども、地方団体ではまだクラウドバイデフォルトを本当にどこまでやっていいのか、ちょっとまだ曖昧なのかなという認識をしております。絶対にやってはいけないというわけでもないけれども、どんどんやれというわけでもないような感じがしていまして、ここがクリアになるとすごくいいのかなと。
 場合によっては一部、法律に引っかかってしまっているところもありますので、とにかく クラウドバイデフォルトは日本中でやろうという力強い方針が出ると、かなり物事が進む のではないかなと思っております。
 特に、今日の大きな論点であるクラウド型の電子署名については、法令等で認められていない状態になっておりますので、ここはぜひ地方自治法の施行規則の方で電子契約に求められていない電子署名要件が限定されておりますので、ぜひここの改善があるとありが たいなと思っています。
 これがないと何が起きるかというと、都としても「はんこレス」をやろうとかやってい るのですけれども、全部スクラッチで電子契約のサービスをつくることになります。これは本当にお金ももったいないですし、本当にすばらしいUIができるか正直、自信のないところもありますので、ぜひ使えるといいなと思っています。

地方自治体においてどの立会人型電子契約サービスが利用可能なのかが分からない現状にある

https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/wg/digital/20201117/gijiroku1117.pdf#page=8

○茨城県(菊池参事) (略)  また、中段の右側の※にありますように、2020年7月17日付での3省連名のQ&Aで、民間 での契約において立会人型が法的に認められて以降、普及の流れは加速化しております。 茨城県がこの立会人型の導入を進めるにあたりまして、2つの法令上の課題に突き当たりました。1つは地方自治法の関係、もう1つは電子署名法の関係でございます。
 おめくりいただきまして2ページ目、1つ目は説明資料2にありますように、立会人型電子契約サービスの利用が地方自治法上認められているのか不明確であるという現状にあることです。具体的には、中段囲みの(参考)にありますように、地方自治法の条文中に 赤字の「契約の相手方とともに」という規定がありまして、契約の当事者双方が電子署名 を行う当事者型しか認めていないと解釈でき、新たに登場してきた立会人型を認めていないおそれがありまして、地方自治体において利用に踏み切れない現状にあります。
 このため、茨城県では立会人型が地方自治体でも利用が可能となるように、地方自治法 234条5項に関連する解釈を明確化し、地方自治体に対して通知や立会人型電子契約を認 めるQ&Aをホームページ等で公表すること、または法令の改正を国に要望しているところでございます。 2つ目は3ページ目、説明資料3にありますように、電子署名法第2条の要件を満たし た電子署名が明確でないために、地方自治体においてどの立会人型電子契約サービスが利用可能なのかが分からない現状にあります。
 囲みにございます(参考)右側の地方自治法施行規則の条文中に赤字で記載しております「2 その他総務大臣が定める電子証明書」と書かれている部分がございますが、例えばその下のピンクの枠内、詳しくは5ページ目、参考資料2にありますように、法務省が商業・法人登記のオンライン申請のホームページにおきまして、利用可能な民間の電子証明を公表しておりますように、どの立会人型電子契約サービスの電子署名であれば利用可能なのか、告示等で明確にしていただきたいと考えているところでございます。
 説明は以上でございます。

通知を出すか法令的に難しいなら法改正の準備を進めてください

https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/wg/digital/20201117/gijiroku1117.pdf#page=9

○河野大臣 すみません。途中で国会に行かなければいけないもので失礼しますが、今のお話を伺っている限り、割と問題は簡単で、総務省が地方自治法の解釈を明確にするか、あるいは法改正が必要なら法改正をしてもらえばいいだけの話だと思いますので、総務省、11月の終わりまでにこの明確化はできるでしょう。
 今月中にも明確に何らかの形で通知を出すなりホームページでその旨をはっきりするなりやっていただいて、いやいや法令的に難しいと言うなら、通常国会の法改正をやりますということを今月中にもはっきり言ってもらって法改正の準備を進めてください。
 行政の押印の見直しをやった1つの趣旨は、電子契約の推進というところにあるわけで、 そのことをみんな政府共通認識でやっているわけですから、総務省がこのデジタルトランスフォーメーションを止めているということにならないよう、待ったなしでやってください。

クラウド型は肯定的に理解されている

https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/wg/digital/20201117/gijiroku1117.pdf#page=26

○髙橋座長 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの御説明につきまして、御意見、御質問等がございましたら、お願いしたいと思います。
 まずは整理の関係で、財務省から御質問を頂戴したいと思います。いかがでしょうか。
 すみません。では、私の方から。前向きに御対応いただけると拝聴したのですが、そうしますと、基本的にはクラウド型電子署名サービスが可能になるような形、ある種の要件 は満たしたという話だと思います。ただ、そのようなものが可能になるだけではなくて、 電子メールでのやり取りも可能になるということでよろしいでしょうか。
○財務省(森田課長) 先ほどの御説明の最後の部分ですけれども、請書などについては 業者から一方的に受ければいいものでございますので、GEPSのようなシステム、あるいは クラウド型の契約サービスのようなものにすら載せる必要はないということで、メールのようなものを可能にするという形に今回併せて措置をしたいと考えてございます。
○髙橋座長 すみません。そうすると、請書だけでしょうか。
○財務省(森田課長) 契約書本体につきましては、現在はGEPSに限っている現行の法令を通常のクラウド型のサービスでの電子契約をもってそれの活用でできるような形にするという改正を考えてございます。
○髙橋座長 すみません。そうすると、要件はどんなものを考えていますか。一般的なクラウド型署名サービスなら大丈夫みたいな形でお考えでしょうか。
○財務省(森田課長) 先ほど御覧いただいた条文ですけれども、28条の2項に総務省に設置されている端末と業者側の端末がネット空間でということを限定的に書いてございますけれども、いわゆるネット空間で結ばれるようなものであればいいという形に簡素に書くことによって、基本的にクラウド型のようなものが読めるようになるということを考えております。
○髙橋座長 どうもありがとうございました。 では、もう1点だけ、いろいろなクラウド型サービスがあるというお話があるのです。
 例えば2条1項の電子署名についてはかなり厳しい要件なのですが、今言ったように、金額によっては請書だけ済ませている契約もある。そういう意味では、2条1項に厳密には満たないようなものでも、例えば契約金額が低ければ可能になるということのお考えもあ りますでしょうか。その辺について、お考えを頂戴したいと思います。
○財務省(森田課長) 2点ほどあると思いまして、現在、契約書の作成義務、御覧いただいた条文の後ろに契約書を作成しなくてもいいという場合が各省庁の方に委ねられている部分がございます。正にそういったものが少額のような場合がございますので、その場合は元々契約書の作成義務がないので、契約書の作成に代えてというオンライン化に進む必要もないという世界があるということが1点。
 2点目は、現行のQ&Aが出てからの我々の検討ですけれども、いわゆる立会型のようなサ ービスであっても電子署名がなされているというふうに、2条の電子署名に当たるということについてQ&Aでかなり具体的に示されたことをもちまして、そうであればそういったクラウド型のサービスも問題ないだろうという思考回路でございますので、現在のまずは 1歩目の見直しとしては、クラウド型のサービスも電子署名法上の2条の電子署名を満た すことを踏まえて、そういったものも取り込めるような規則改正を行うということでございます。

電子署名を使わないという選択肢もあるのではないか

https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/wg/digital/20201117/gijiroku1117.pdf#page=28

○岩下座長代理 岩下でございます。
 財務省さん、大変前向きな、クラウド型の電子署名サービスを利用可能にするような改正を御検討くださっているということで、これ自体はとてもいいことかと思います。
 ちょっとそもそも論になってしまうのですけれども、私は実は今の電子署名法をつくるときの議論からいろいろと関与していまして、例えば今の電子署名法上の、特に政府が利用する場合は電子署名アルゴリズムに何を使うかということ、CRYPTRECという総務省と経産省の共同で設置した委員会で技術評価を行って、大変精緻な評価書を書いた上で認定しているという実態があります。一応、私はそのCRYPTRECの創立メンバーの一人で、10年間 やりましたので、ある意味では電子署名のセキュリティーとか、なぜ電子署名を使うかと いうことについてはかなりのこだわりがあります。
 そういう視点で見させていただくと、今回の会計法の29条の8の中に記名押印をしなけ ればならないと書いてあることと、その後の説明というのがあまり合っていない感じがするのです。記名押印を何のために求めていたのかというのは多分、過去の取引の実務の実 態だと思うのです。世の中でみんな契約書というのは記名押印するものだということだっ たと思うのですけれども、ただ、今の世の中においても本当にそれはそうなのかというの は、最近はもう民民の取引だと記名押印はしなくなってきていますね。にもかかわらず会計法には記名押印と書いてある。だから、何かしなくてはいけないということでいろいろと皆さんが苦労されているのだと思うのですけれども、そもそも、この記名押印ということ自体が様々な行政の非効率、ひいては例えば財政資金が無駄な目的で浪費されるという ことにつながって、財務省さんにとっても大変マイナスかと思うので、そこのルールを変えることというのはできないのでしょうかというのが、ちょっと私がそもそも根源的にお聞きしたいことです。
 というのは、どうしてかと言うと、この49条の2とかそれに基づく取扱規則の改正の話 を聞けば聞くほど、要するに本来、電子署名の求めている相手認証、否認防止、それから、 真正性の担保といった目的をあまり考えていないみたいに見えるので、だったら、電子署 名を使う必要などないではないかというふうに私には見えるのですが、これは本当に電子 署名を使う必要はあるのですか。
 すみません。私の質問は以上です。
○高橋座長 財務省、いかがでしょう。
○財務省(森田課長) 29条の8の正に2項ですけれども、今回こういった議論がありましたので、我々も遡って29条の8の2項の創設の趣旨なるものをいろいろ確認してはみたのですけれども、正に実務の慣行によるところがかなり大きいのかなと思っています。したがって、今般のような形でコロナ後の社会のオンライン化に向けてデジタル化を見直していくと、ともすると、原則とデジタル化した後の規制の強さが若干ねじれてくるような 話がございまして、その辺りがあるものですから、岩下先生も正に違和感を持たれたと思うところがございます。
 さはさりながら、歴史的に元々実務があって契約書に実印をこれは押しているような実態がございますので、その実務、今回の取りあえずの現時点で考えているターゲットは、 規則をまずはクラウド型の契約サービスを読めるようにするということがまず一義的には直面する課題ですが、先ほど総務省さんからも御説明がございましたように、自治法の方にも同じような規定がございますので、総務省などとも、ちょっとこういったところの、そもそもの見直しのようなことができるだろうかというところも視野には入れて、また、裁判手続のことに実務上絡んだことがあったのかどうかみたいなことは、場合によっては 法務省さんのサポートも頂きながら、少し、今日御指摘も頂きましたので、検討させていただければと思います。

EUで使えるの?国際的な整合性を診たほうがいい

https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/wg/digital/20201117/gijiroku1117.pdf#page=31

○総務省(田原統括官) 総務省でございます。
 電子署名法の所管省庁、3省庁で整理しているわけでございますけれども、基本的に電 子署名はいろいろなケースで使われるということがございますが、私どもとしてはこの電 子署名を含めてトラストサービス、資料も配らせていただいていますけれども、電子政府 あるいは政府全体のデータ戦略という中でトラストサービスの位置づけを整理していくと いう議論で進んでいると認識しております。そういった議論の中で、国際的な整合性も含 めて、いろいろ日本としてのトラストサービスはどういうものにすべきなのかということ を検討していくべきだという議論で進んでいると理解しております。
 そうする中ですけれども、こういったクラウド型の電子署名、利便性というのは非常に いいというのは私どもも認識しているところでございますけれども、それが電子署名法上 の署名であるべきなのか。先ほど財務省さんのところの議論もありましたけれども、そこ までいかなくても必要な何か保証をするというサービスに活用するという意味でこういっ たものはどんどん使われてもいいのかもしれませんけれども、きちんとした制度を考える ときにはやはり国際整合性を見た方がいい。そのときにこういうクラウド型サービス、多分、EUで言うとこういうサービスは多分使えないという形になりますので、そういったところとの整合性も気にしながら検討していくべきものだと考えています。
 以上です。

文書の真正な成立の推定

https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/wg/digital/20201117/gijiroku1117.pdf#page=32

○法務省(堂薗審議官) 法務省の堂薗でございます。
 御質問の点でございますが、まず電子署名法の2条あるいは3条についての解釈、これは所管省庁でできるだけ疑義が生じないように明確にすることは必要だろうと考えておりまして、そういった観点からQ&Aなどをつくらせていただいたところでございます。
 ただ、最終的な当てはめ、一定の解釈を前提として個別の事案にそれが当てはまるのか どうかというところにつきましては、基本的には個別の事案ごとにそれぞれの事情を総合的に考慮して裁判所の方で判断をするところがございますので、その当てはめも含めて明 確にすることにつきましては、なかなか難しい点もあろうかと考えているところでございます。
 それから、民事訴訟法228条4項につきましては、基本的にはこの条文の趣旨が、裁判所に証拠として提出するもの、例えば書証であれば、その書証がある特定の人の認識などを書いたものだということは当然、証拠を提出する人が証明をしなければいけないわけですが、書面全体について、この特定の人の認識が書かれたものだというのを立証するのは難しいところがあるので、その立証の負担を軽減する観点から署名または押印があれば全体としてその人の認識が表れているものとして推定することとされているところがございます。
 これにつきまして、何かほかにそういった立証の負担を軽減するような方策があるというのであれば検討の余地があるのだろうと思いますが、現時点では、この規定による立証の負担の軽減が必要ではないかと考えているところでございます。いずれにしても、現行 の規定の解釈の明確化には引き続き努めてまいりたいと考えているところでございます。
 私からは以上です。